株式会社 薬王堂
株式会社 薬王堂 DX戦略部 府金直樹 氏
株式会社 薬王堂 DX戦略部 遠藤茄奈未 氏
企画・デザイン・分析まで!高速実行する新卒と先輩インタビュー【小売DXで輝くヒト:薬王堂編】
小売DXの現場で活躍するヒトにインタビューする企画。
今回は薬王堂のDX戦略部にて、Stailerを導入して運営する「P!ck and(ピックアンド)」を推進する新卒2年目の遠藤さんと、その先輩である府金さんにお話を伺いました。
お話を伺った人:
府金直樹さん(右):09年入社。14年から店長を経験し20年9月からDX戦略部に所属。
遠藤茄奈未さん(左):22年新卒入社、現在までDX戦略部に所属
*プロフィールは2023年取材当時
薬王堂様のサービス:
岩手県を中心に東北6県でバラエティ型コンビニエンス・ドラッグストアを展開する薬王堂様。2021年6月より、10Xの小売プラットフォーム「Stailer」を導入して「薬王堂 P!ck and(ピックアンド)」を提供開始。現在380店舗にて展開中。
立ち上げ当初から「将来誰かが抜けても困らない」を想定したチームづくり
ー薬王堂「P!ck and(ピックアンド)」を担当するチームの構成を教えて下さい。
府金:私たちはDX戦略部という部門に所属しており、薬王堂のデジタル領域を広く担当しています。現在メンバーは8名で、システムのインフラ担当と、「P!ck and」のようなアプリケーションの担当が部門内にいます。その中でも私と遠藤はデジタルイノベーション課というチームにいます。私は2年前の立ち上げ時から、遠藤さんはもう1名の新卒同期と一緒に昨年2022年の7月から配属されました。
ーチーム内ではどのように業務分担をしているのですか?
府金:「P!ck and」ではアプリで注文して店舗や自宅で受け取れるサービスを提供していますが、それを実現するためにチームでは全体の統括、オペレーション担当、販促担当 と大きく3つの役割を分けています。それを、私・遠藤さん・もう1名のメンバーの3名で分担しています。
チームとしては「全員がオールマイティにできるようになる」ことを意識しているので、タスクは適宜ローテーションしながら担当しています。日頃から社内や10XのメンバーともNotionを活用してタスク管理をしながら進めていますね。
ー各メンバーが「何でもできる」状態を目指しているんですね。
府金:はい。薬王堂は店舗も380店以上あり、今後メンバーが定期的に異動する可能性も大いにあります。ですから、将来誰かが抜けても困らないような体制づくりを意識しています。
また、1つの領域を1人しか担当しない状態だと、視点が足りなかったり、誤った状態で進めてしまう可能性もあります。そのため、複数人で担当できるような形を目指しています。
想定になかった小売業界への就職。新たなチャレンジに魅力を感じ入社
ー遠藤さんは新卒2年目と伺いました!入社のきっかけを教えてください。
遠藤:地元は福島なのですが、大学入学を機に上京し、経営やマーケティングを専攻していました。学外では学生団体に所属し、大規模なイベントの企画・運営にも力を注いでいました。
大学の途中でコロナ禍になり、3年生のころはほとんどオンライン授業になってしまって……。その頃は、ほとんど福島の実家で過ごしていました。
その間もたまに東京には行っていたのですが、東京の忙しなさに少し疲れてしまい、東北もいいなぁと思い始めました。
就職活動では、はじめは関東圏の企業を見ていたのですがピンと来ず、東北までエリアを広げて探し始めたんです。
ーそこで薬王堂に出会ったのでしょうか。
遠藤:はい。Offerboxという就活アプリを使い始めたら、今の上司から直接メッセージを頂いて驚きました。 小売業界への就職は当初考えていなかったのですが、スカウト文を読むと「ベンチャー企業と組んで新しい取り組みにチャレンジしている」など書かれていて興味を持ち、カジュアル面談をすることに。上司は元々SE等の仕事をされてから薬王堂に転職された経歴もあり、話がとても面白く「この人と働きたい!」と思い、最終的に入社を決めました。
府金:薬王堂としても、コロナ禍に入った頃からベンチャーと組んでアプリを出したり、商品開発をはじめたり、新しい取り組みを増やしていたんです。採用でも従来にない取り組みとして、遠藤さんの代からオファー採用を始めたんです。
ー新卒入社してからは、研修などはありましたか?
遠藤:同期は120名いるのですが、全員最初の3ヶ月は店舗勤務でした。棚づくりや接客、在庫管理など基本的なことを学ばせていただきました。その後、7月から現在のDX戦略部に配属され、「P!ck and」に携わるようになりました。
当初は東北での就職は考えていなかったという遠藤さん
ーいまの担当業務を教えてください。
遠藤:「P!ck and」の運営は、府金さんと私、さらにもう1名新卒同期の3名がコアメンバーです。その中で私は特に販売促進の担当をしており、アプリ内での販促企画の立案、バナーのクリエイティブや文言の作成、商品の選定、施策実施後の振り返りなどを行っています。
昨年Stailerの管理画面から自由にバナーやクーポンを設定できるようになったので、今は自分でFigma(デザインツール)を使い、実際にデザインも作成しながら企画・実施まで担当しています。
最初の頃はバナー1つ作るにしても「どんなターゲットで、どんな文言で、どんなイラストで…」と細かく府金さんにチェックしてもらっていましたが、徐々に任せていただくようになり、今は8割型自分で進めて府金さんにはチェックだけしていただくような感じです。
Notion、Figma、SQL……ツールを活用し企画〜実行まで高速化
ー先輩の府金さんからみて、遠藤さんはどう活躍されていますか?
府金:担当の販促まわりで非常に貢献いただいています。特に、遠藤さんの入社前は担当が男性メンバー3名で販促も私が担当していたのですが、遠藤さんが入ってからはわかりやすい切り口になったり、消費者視点・女性視点での提案を多くしてくれたりと、より魅力的な売り場になったと思います。
さらに、Stailerの機能でも管理画面からバナーや特集などの機能を随時使えるようになったので、自身でデザインができる遠藤さんの強みとあわせてスピード感を持って施策を回せるようになりました。
遠藤さんの活躍ぶりを説明する府金さん
ー新卒ですぐに本社部門への配属は珍しいと伺いました。苦労したことはありますか?
遠藤:最初は小売の専門用語やコミュニケーションのとり方についていくのが大変でした。打ち合わせで出てくる単語も全然わからなくて、どこから聞けばいいか困ったりもしていました......。ただ、府金さんはじめ周囲の先輩がとても聞きやすい雰囲気なので、相談しやすく助けられました。
業務面ではデザインツールやスプレッドシートで数字管理などは大学時代にもやっていたので、それを活かすことができました。ただ、分析や数字があまり得意ではなくて…。部内でSQLを学び自分でやりつつも、まだまだわからないことが多いです(笑)
取材場所は薬王堂仙台オフィス。開放的な雰囲気です。
ー仕事で面白い点はありますか?
遠藤:新しい部門ということもあり、新卒2年目ながらこれだけ自由に、裁量をもってやらせてもらえるのは相当珍しくラッキーなことだと思っています。学生時代の経験も活かしつつ、動画やWebページを制作したり、SQLで数字を分析したり、新しいことを学びながら進められるのが楽しいです。
また、販促は自分でデザインしたものが実際にアプリに出たり、店舗に掲示されたり、お客様の手に渡ったり…と直接届けられるのもやりがいを感じる点ですね。
大学の友人と会って話したりすると、1年目はまだまだ研修期間だったりもするんです。そんな時期から、ここまで広く経験できるのはありがたい環境だと思っています。それから、薬王堂は会社としての福利厚生も充実しているので安心感もあります。
本部と現場の連動の鍵→チーム構成と「現場の落とし込み力」
ーお話を伺っていると、非常にスムーズに業務を進められていますね。小売でのDX推進となると「本部と現場が上手く連動できない」という声もよく聞いたりしますが、成功の鍵があれば教えて下さい
府金:DX戦略部を立ち上げたときのチーム構成は一つよかった点だと思います。私自身はもともと現場が長く、店長のリーダーのような業務をやってきたので、現場の悩みが吸い上げやすい立場でした。一方、同じ立ち上げ期からチームにいるメンバーで、本部の経験が長く、システムや自動化に詳しいデジタルのプロフェッショナルもいました。それぞれが現場と本部の目線として、「これって現場に伝えたらどうかな?」「それじゃ伝わらないでしょ」など。率直な意見を出し合いながら、すり合わせていますね。
ー「P!ck and」はすでに全店舗で展開されていますが、そこまではスムーズに進んだのでしょうか。
府金:オペレーションの面では、まず4店舗で最初に実施、次に15店舗、80店舗、全店舗…と段階的に進めたことで大きな混乱はなく淡々と拡大できました。もともと、薬王堂の強みとして、真面目な社風があり「現場での落とし込み力が高い」ことも上手くいった理由です。棚作りなどでも、よくメーカーさんから「薬王堂さんは店頭での実現力が高い」と言っていただきます。
一方で今後、より販促に注力し売上を増やしていく、というフェーズではやはり店舗の忙しさとのバランスは課題です。例えば「チラシを配布してください」とお願いしても、実はなかなか配布が進んでいない、その要因の分析もできない......などの課題があります。これは今後解消しようとしている点です。
ー本部と現場が上手く連動するための鍵はなんでしょう?
府金:エリアを統括するSV(スーパーバイザー)とDX戦略部の間で、目指したい姿や、それによる現場の恩恵は何か、をしっかり握ることだと思います。店舗で課題があっても個々の従業員から直接本部に問い合わせをすることは難しいので、SVに相談し解決できるという関係をつくることでしょうか。
後ろの棚に並ぶのはヘラルボニー×薬王堂のグッズ!
「何をすべきか」自ら考える人材として、将来の会社の柱へ
ー遠藤さんは今後、社内でチャレンジしたいことはありますか?
遠藤:まだまだ新卒2年目ということもあり目の前のことに追われているので、全体を俯瞰してプロジェクト全体を統括するスキルをつけていきたいです。
長期的な目線では、最初から本部配属というのが会社でも初めての試みなこともあり、キャリアプラン的なものが用意されてはいないんです。ただ、採用時から上司が「一緒に考えていこう」と言ってくださっていたので、徐々に見えてくるかなぁと思っています。
ー若手メンバーとして、働く環境はどうですか?
遠藤:風通しがめちゃめちゃ良いです!入社当初から、コロナ禍だったのでオンラインで副社長や各部長陣とのご挨拶があったのですが、みなさんから「新しい風を吹かせてほしい」「意見を遠慮なく言ってほしい」と言われました。実際、業務でも言いたいことは言うようにしていますが、常に向き合って吸い上げてくれる環境だと思います。
府金:私は店長時代にも新入社員の育成を担当していましたが、特に最初から本部で企画を担当している遠藤さんたちを見て、考え方の質が高いと感じます。最初に店舗配属だと業務の性質上、店長の指示にしたがって行動することが多くなりますが、遠藤さんたちはより自由度の高い仕事を担当していることもあり、自ら「何をすべきか、どうしたら解決できるか」を1年目から考えて動けている点がすごいと思います。
ー今後が楽しみですね!最後に御社として、若手社員やデジタル人材への期待を教えてください。
府金:DX戦略部ができてからまだ2年で、社内でしっかりデジタル人材を育てようという取り組みも始まったばかりですが、とても期待しています。私自身は現場あがりですが、現場だとどうしても目の前の目標達成に追われてしまうことがあります。遠藤さんのように、最初から本部配属で、デジタルなど新しい取り組みをしている若手人材が将来会社を引っ張る人材になっていくのでは、と期待しています!
インタビュー中も終始和やかなお二人でした!
ーありがとうございました!