「直接会ったのは2回だけ」リモートで進めたBizDev・開発の舞台裏

2020/12/3

12/2、10Xは広島の老舗スーパー「フレスタ」との提携を発表しました。10Xが提供する開発不要でネットスーパーを立ち上げ可能なプロダクト「Stailer」を利用し、「フレスタ ネットスーパーアプリ」の提供を開始しました。

10X、広島の老舗スーパー「フレスタ」と提携し「フレスタ ネットスーパーアプリ」を提供開始

広島県を中心に63店舗を運営するフレスタは、2001年から宅配事業を手掛け、ネットスーパーの売上規模も日本有数。
既に自社でネットスーパーを運営するフレスタが、10Xに声をかけたのは何故だったのでしょうか?そして、リリースに至るまではどんな道のりがあったのか?
最初のコンタクトからリリースまでをリードした事業開発の赤木と、エンジニアの久田・堀見の3名に、リリースに至るまでを聞きました。


※撮影時のみ、マスクを外しています。

プロフィール

赤木 努 | @tsutomuakagi (写真左)
Business Development
三菱商事株式会社 自動車事業本部にて、海外向け自動車輸出や事業投資先への出向(コロンビア・ペルー)などを経験。 帰国後はモビリティ分野における新規事業開発、海外M&Aを担当。

久田 一輝 | @hisaichi5518 (写真中央)
Software Engineer
面白法人カヤックでぼくらの甲子園シリーズのリードエンジニアを務める。その後、GMOペパボでハンドメイドマーケットminneのWeb API開発に関わった後にチーフテクニカルリードとしてモバイルアプリケーションの技術基盤の整備や技術選定を担う。

堀見 宗一郎 | @horimislime (写真右)
Software Engineer
株式会社サイバーエージェントでブログサービスの開発に携わり、サーバサイドのリードエンジニアやアプリエンジニアを経験。その後株式会社トレタにて飲食店向けの予約台帳iPadアプリ開発、株式会社bitFlyerにて仮想通貨取引所のサービス開発を経て10Xに入社。

ホワイトペーパーを見て経営陣自らコンタクト

-最初のコンタクトはどちらから?
赤木:今年の5月頃、まだStailerが世の中に出る前でした。10Xが出していたイギリスのネットスーパー大手「Ocado」のホワイトペーパーを見たフレスタの取締役直々に、コンタクトフォームから連絡を頂いたんです。経営陣自ら、しかも熱の入ったご連絡だったので、社内も盛り上がりました。

-どんな内容だったんでしょうか?
赤木:「新型コロナウイルスの影響でネットスーパーの需要が増加しているが、キャパオーバーになっている。またネットスーパー開始から10年以上経過しているため、新たなシステムを検討している」という内容でした。非上場企業のため公開情報は限られていましたが、商圏、売上規模、沿革、会社の特徴、組織体制などのデスクトップリサーチを行い、初回面談に向けてドキュメントにまとめていきました。

-最初の面談ではどんな話を?
赤木:最初から10XやStailerのことを売り込むのではなく、まずは先方の課題をしっかり聞く、ということを大事にしました。ご連絡いただいた取締役の方は、代表の矢本のブログや10Xのホワイトペーパーにも目を通してくださっており、本気度を感じました。
あとから聞いたのですが、先方も問い合わせ当初は興味本位のところもあったが、面談を経て想像以上に10X側のスーパー・小売事業への解像度が高かったことに驚かれたそうです。



「何を聞いても数字が出てくる」ことが信頼につながった

-最初の商談から今回のリリースまで約6ヶ月ほどですが、その間はどんなやり取りがあったのでしょうか。
赤木:前半の3ヶ月は、課題の特定と座組の決定・価格交渉などの商談が主で、後半3ヶ月はプロダクト開発やリリースに向けた準備を進めてきました。交渉の前半はフレスタ側から色々なデータを共有いただき、現状の分析や今後のネットスーパー戦略の策定など、長期的な目線合わせに1.5ヶ月ほどかけました。

-経営戦略までディスカッションするんですね。
赤木:一口にネットスーパーといっても、高齢者や外出が難しいご家庭など、いわゆる「買い物弱者」へのセーフティネットと位置づける企業もあれば、経営戦略の柱としてネットスーパーを成長させる、という意気込みの企業もあります。10Xが提供するStailerは月額固定費+レベニューシェアモデルで最初にシステム開発費用はいただかないからこそ、中長期的な成長にコミットできないパートナーさんと組むことは難しい。
その点、フレスタさんはネットスーパーを長期的な経営戦略の柱とする意気込みでしたので、10Xとしても、地方スーパーにおけるネットスーパーのモデルケースになり得ると感じ、取り組んでいくことを決めました。

-「何を創るか」という点はすぐ決まったのでしょうか?
赤木:今回は既に動いているネットスーパー「エブリデイフレスタ」をもっと使われるようにしたい、という課題も特定されていたので、アプリを提供することはすぐ決まりましたね。

-BizDevという仕事上、オンラインのみで関係構築するのは大変なのではと思います。工夫したことはありますか?
赤木:実は直接会ったのは2回だけで、ほぼオンラインで商談を進めてきました。その中で意識していたことは主に3つあります。
1つ目は、コミュニケーションの頻度を高く保つこと。担当の方との電話の回数は、100回を超えていると思います。リリース直前の最近は、1日5回くらい電話していますね。
2つ目は、当たり前ですが準備を徹底すること。オンラインMTGだと先方の温度感がわからないので、特に事前準備は入念に行い、ドキュメントなどにまとめて、MTG中は大事なことの議論に集中できるようにしていました。
3つ目は相手の担当者の方から言われたのですが、「何を聞いても、細かい数字まで頭に入っていたのがよかった」そうです。日商、ユーザーの構成比、展開エリアなど、頭に叩き込んでいたのですが、会話の中ですぐ出てくることで「この人なら一緒にやれる」と思って頂けたようです。


疑問はNotionでリスト化→すぐ返答でスムーズな開発

-開発がはじまったのは、契約が確定してからでしょうか?
久田:確定する前からですね。今回は8月くらいから開発には着手していました。もともと僕はイトーヨーカドー ネットスーパーのアプリでも「サイトコントローラー」という既存のネットスーパーを操作するものを作っていたので、今回も自分が創るのが早いね、となってアサインされました。

堀見:僕は8月に入社し、まずはイトーヨーカドーの機能改修で業務に慣れたあと、9月頃にCTOの石川から「在庫連携などサーバー側をやってみないか」という話をもらい開発をはじめました。

-BizDevと開発の連携は、どのように始まったのでしょうか?
赤木:実はそんなになかったんです。
これも「自律」の1つだと思うのですが、2人が現行のネットスーパー仕様を勝手にどんどん調べいて、気づいたら「知りたいことリスト」が出来上がっていたんです。それをまず自分が読み込んでしっかり理解し、その上で先方に聞く、ということをやっていました。

-開発メンバーはパートナーとのMTGにも同席しているんですか?
堀見:今のところまだ出ていないですね。オンラインのコミュニケーションがうまく機能していて、ドキュメントやチャットでのやり取りが基本となっています。先方とはNotionのページを共有していて、ここにタスクボードを作りお互いの質問と回答を管理しています。それに加えて、赤木さんが会議で聞いて内容を補足してくれるので、それで完結しています。

久田:MTGの内容も赤木さんが全部ドキュメントにしてくれるので、読めばわかるようになっています。聞きたいことは、Notion上で質問をまとめておくと回答してくれるので助かっています。

赤木:開発が本格化した時期からはSlack+Notionでやり取りしているので、10Xのやり方をそのまま導入いただいています。



-ツール導入や進め方の壁はなかったんですか?
赤木:先方の担当者の方が、宅配事業のスペシャリストであるにも関わらず、凄く謙虚で物腰柔らかで、新しいことにも積極的にチャレンジしてくださる方で。Notionを使いたい、とお伝えしたときも、Notionの使い方の本を買ってきて「感動したよ!これいいね!」とまで言ってくださったんです。本当に、担当の方に恵まれたと思っています。

-ちなみに、各パートナー企業との連携方法は決まっているんでしょうか?
赤木:いえ、パートナーにあわせて、10X側でもなにが一番いいのか模索中でもありますね。例えばメールが主な場合には、ZapierでメールがSlackに飛ぶよう連携して共有したりするケースもあります。Notionを使っている企業も複数ありますが、それも会社によりますね。

-お2人は、パートナーとの開発は初めてでしたか?実際やってみての感想は。
堀見:初めてでしたが、先ほど話したようにオンラインでのやりとりが上手く回っていて密なやり取りができました。先方もこちらのことを理解しようと歩み寄っていただいた感覚があったので、すごく気持ちよくプロジェクトが進められました。

久田:僕も同じく初めてでしたが、スムーズに進んだと思います。質問の回答が凄く早かったのが、ありがたかったですね。

-なるほど。開発の上で苦労した点はありますか?
堀見:今回はイトーヨーカドーに続く2つ目の案件だったので、Stailerの機能がまだ複数のネットスーパーに対応できる仕組みになっていない部分もありました。汎用化するにあたってはコードを書く以外にも準備しておかないといけない点が多いのは大変でしたね。

久田:僕も前職含めて「アプリの初めてのリリース」を体験するのが、実は初だったんです。なので、アプリを初めてストアに出すまでの審査とか、画像素材とか、その他いろいろな準備は知らないことが多かったので、次はもっと効率的にできるかなと思います。

-今回、おおまかな仕組みはイトーヨーカドーのネットスーパーと同じだと思うのですが、新しく開発した点はどんなところなんでしょうか?
久田:イトーヨーカドーさんでは必要なかったけど、ネットスーパー全般では必要な汎用機能をStailerに拡充していきました。1つは「セール商品」ですね。定価とセール価格という2つの価格があるデータを保持するとか。あと、アプリのαテストをした際に「注文変更」という商品を注文した後に内容を変更する動線がわかりづらかったという声があったので、よりわかりやすい導線に変更したり。これは後でイトーヨーカドーアプリの方にも反映しました。

-堀見さんと久田さんの役割分担は、どんな感じだったんでしょうか?
堀見:ざっくり、自分が在庫連携やネットスーパーのデータ連携部分、久田さんがネットスーパーの操作やクライアントまわり、という感じでした。

久田:セールの開発をしてるときに、「データ入れといてくれれば自分がやろうかな」と思っていた部分を堀見さんが全部やってくれていて、気づいたら終わっていた...という「自律」を感じたエピソードがありました(笑)

堀見:終わらせられてよかった(笑)サーバーもクライアントも横断してやる、という10Xの開発スタイルは初めてでしたが、「サーバー側を作ったし、クライアント側もちょっと触ってみるか」とシームレスにやれたのは良かったです。
これまではエンジニアのロールが明確に分かれている職場が多く、少しサービスを使いやすくするのにも人に頼まなくちゃいけないというジレンマがありました。10Xでは基本的に何でも触れるので、開発サイクルがとても早く回せているなと思います。


BizDevと開発、お互いの「わかってもらえてる感」

-今回のプロジェクト、BizDevと開発チーム、お互いから見てどうでしたか?
赤木:すべてが初めてで不安な面もありましたが、「なぜやるか、なにが必要か」というWhyとWhatが決まっていれば、「どうやって実現するか」というHowは背中を預けられる安心感がありました。
また2人が現行のネットスーパーのことを自分で調べて深く理解されていたので、BizDevとしてもすぐに共通言語で話せたことや、「ユーザーにとって良い体験」というゴールに向かってまっすぐ進めたことが、とても気持ちよかったです。

堀見:開発する上で、「ビジネス的には本当はこうしたいんだけど、開発工数や実装難易度の面でこれくらいに落とせないか」という相談をすることって、結構あると思うんです。赤木さんにそういう相談をしたときに、ただ受け入れるだけじゃなく「理解のために聞きたいんですけど」と、理由や背景を細かく聞いたうえで先方とのやり取りをしていたところがすごく心強いなと思いました。過去の職場でBiz側の人と仕事をしたときにあまり言われたことがなかったので、より距離感近く仕事できてるなと思います。「わかってもらえてる感」がある。

久田:全部言われちゃったなー(笑)そうですね、Bizチームはエンジニアの自分が持ってないものを持っていて、逆に僕たちだけが持ってるものもあるとは思うんですけど、そういう部分を補い合えているのが良い点だと思いますね。ドキュメントやMTGでスラスラと言葉が出てくる言語化能力だったり、数字がぱっと出てくる所だったり、パートナーと強い信頼関係を構築できたり。

堀見:わかります!

赤木:ドキュメントの書き方はまだまだ改善が必要ですが...(笑)嬉しいです!


褒められて照れる赤木

-いよいよリリースですが感想は?
赤木:初めて自分がゼロから携わったプロジェクトがリリースするのは、少し怖いところもありますが、とても楽しみです。リリースがゴールではく、ここからがスタートなので、どれだけお客さまに使ってもらえるかという責任も改めて感じています。さらにギアを上げていきたいと思います!

堀見・久田:がんばりましょう!

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