代表・矢本が目指す「10xな事業と10xな組織」とは?

2020/5/28

2020年6月、株式会社10Xは創業3周年を迎えます。
2017年12月に10秒献立アプリ「タベリー」をリリースし、その後オンライン注文機能を拡充。2020年5月には新プロダクトとして、開発不要でネットスーパーを立ち上げ可能なプロダクト「Stailer」を公開した10Xでは、現在、一緒に働くメンバーを募集しています。もっと10Xのことをお伝えするため、社内ブログをスタートすることになりました!
第一弾となる今回は、10X代表・矢本真丈に、10Xの組織やバリュー、目指す姿について聞きました。

【プロフィール】
矢本 真丈 | @yamotty3
Founder, 代表取締役CEO
2児の父。大学院在学中に3.11の震災で被災。その後、丸紅、NPO勤務を経てママ向けECスマービー創業参加。プロダクト責任者を務める。スマービーの売却を機にメルカリへ。 3.11震災の避難時に「火を入れた料理」に感動したこと、また育休中に家族の食事を創り続けた原体験から、タベリーのMVPを創り、石川とともに10Xを創業。

※なお文中の「10X」は社名を、「10x」は十倍、非連続を意味します。

生み出す価値の総和を最大化させる少数精鋭なメンバー

-まず、現在の社員数と役割を教えてください。

現在、フルタイムで働く社員は13人です。
半数以上がソフトウェアエンジニアで、残りがグロースや事業開発などのメンバーです。

プロダクト・事業開発にバランスの取れた少数精鋭の構成


-エンジニアの中では役割を分けているのですか?

大きく「サーバー」と「モバイル(アプリ・Web)」の2つに役割を分けていますが全員が役割を横断して仕事をしているのが特徴です。

例えば、開発タスクはGitHub上で「解決したいイシュー」の単位で分割・アサインされます。各エンジニアはイシューを解決するための実装方針の策定から担当し、一つのイシューに必要なサーバー・モバイル両方の実装を一人で担当することも多いです。もちろんそれぞれに得意な領域、専門性の高い領域があるため、お互いに信頼してパスをすることもありますが、基本は各人が分散的・並列に仕事を進めています。

もし大規模な開発組織ならばマイクロサービスアーキテクチャを導入し、領域を疎にすることで独立して意思決定や実装ができるチーム体制(ガバナンス)を整えるかもしれません。しかし現在の10Xは少数精鋭で、役割を横断しながら並列で動くこと、チームが生み出す価値の総和(スループット)を最大化することに集中しています。これは事業開発やグロースチームでも同じです。

全てを賭ける新プロダクト。バリューに沿って考えると当然の選択

-10Xのバリューを教えてください。

「10xから逆算する」「自律する」「背中を合わせる」の3つです。今年の3月に決めました。

-創業から2年半のタイミングで、バリューを定めた理由は?

もともと、バリューの策定は10名程度へメンバーが増えたタイミングでやるべきだと考えていました。

バリューとは組織のOSだと考えています。創業者が持っていた価値観のうち、10名程度の人が集まっても自然と残る、共有化された価値観がバリューだと捉えていました。直近の半年で社員数が倍になったのですが、その中で、新しいメンバーとも「10Xらしい行動は何か」を明文化して共有することが必要だと思い、今年に入り全員で話し合って決めました。後から入社する方のためにもバリュー策定のプロセスをすべてドキュメントに残しており、いつでも見ることが出来ることも10Xらしいと考えています。

また解釈の範囲を広げるために、それぞれのバリューに対して3つずつDo(推奨される行動)も記しています。一方でDon’tを記さなかったのは、失敗を制限しないためです。

昨年撮影した写真。メンバーはこの半年でほぼ倍に


-それぞれバリューの中身を伺いたいと思います。まずは社名にも入っている「10xから逆算する」について教えてください。

僕らは「『10x(テンエックス) = 非連続な』を創る」というミッションを定めています。全てのバリューはこのミッションを達成するための行動指針であり、ミッションに深く紐付いているのがこの「10xから逆算する」というバリューです。

今うまく動いている何かを改善するという仕事において、僕らは大企業に絶対に勝てません。10Xが唯一比較優位に立てる部分は、彼らがとれないリスクをとれることだと思っています。「改善の延長ではなく、理想の状態をゼロベースで創る」とか、「不特定の誰かではなく、ある個人が強烈に抱えている課題をみつけ全力でプロダクトを創る」とか「多くの人を納得させるのが難しい中で、自分たちのもつ小さな事実を元に意思決定を行う」とか。

そのためには一発退場を避けるようなリスクのコントロールだったり、小さな実験を通じて「確かなこと」を確認しながら進むことであったり、大胆さを支えるための行動が必要になります。なので、Doの中には「非連続性で戦おう」という言葉の他に「小さく実験しよう」「一人の重大なイシューからはじめよう」という言葉が入っています。


具体例をあげると、今10Xでは全社リソースを「Stailer」(※開発不要でネットスーパーを立ち上げ可能なプロダクト)に注いでおり、大企業(エンタープライズ)にフォーカスしています。僕らにとっては非常に大きな変化ですが、このバリューがあったから全員の足並みを揃えて進むことができていると考えています。

特に事業開発は小さい事業者の方がフットワークは軽いので、DXやろうとか、新しいツールを導入してもらうことは比較的簡単です。ただ、社会に対するインパクト、顧客のスケール、解決すべき課題の大きさ、流通額の規模などを考えたときに、本当に10xなことをするにはエンタープライズの変革を避けては通れません。小売の未来を描き、社会と共有していくこと。そして日本全体のインフラとなっている巨大なエンタープライズをプロダクトを通じて変革していくこと。タベリーというプロダクトを通じてより10xを模索する中でこれらが必要であると気付き、そして10Xがやるべきだというという考えに至りました。

だから、今はそれ以外やらないと決めています。

個々が「自律」した上で「背中を合わせる」チームづくり

-なるほど。次は「自律する」というバリューについて教えてください。

1つ目のバリューにあるような、非連続で難しいチャレンジをしようとすると、多くの足りないものにぶつかります。情報やスキル、信頼などです。それは当然なので、そんな状況で、必要なものを自分の責任で揃えて前進するという姿勢、学ぶ意欲やオーナーシップのことを「自律」と考えています。


-「自律する」ために、大事にしていることはありますか?
新しく入ったメンバーでも、Day1から自走できるような環境を整えることに注力しています。例えばドキュメントをストックし、トラッキングしやすくすることであったり、HowではなくWhyを示すことで、各自が考え、影響を及ぼす余白を残すことです。

まずドキュメント化についてですが、意思決定の場にいなかった人や、後から入社する人たちに情報を届ける方法として一番効率的なことは、端的でよく構造化されたドキュメントを保管しておくことなんですよね。またドキュメントを使ったコミュニケーションは論点がすでに整理された状態のため、無駄が減るといったメリットもあり、とても大事にしています。
他方で、会社に関する情報のうちドキュメントとして言語化できるものはほんの一握りです。10Xでは「情報のある場所や人を示した地図」や「全員の自己紹介ドキュメント」を作成することで「人に関する情報も拾いやすくする」といった工夫もしています。

また後者について、これは個人的な考えですが、Howを指定されると創造性が発揮できる領域が極端に狭くなり、仕事の楽しさは減ると考えています。マネジメントの役割はWhyと優先度を提示し、Howは自律したメンバーに大きく任せていく。これによって更に自律が促されるという車輪の関係にあるように思います。

-では最後に、「背中を合わせる」について教えてください。

これは「自律する」と対になったバリューです。僕らがチームを作ることの一番の理由は、スループットを上げることです。そのためには自律した個々がお互いを信頼して任せていくこと、そしてチームが早く動けるようにコミュニケーションを工夫することが必要だと考えており、これらを「背中を合わせる」と表現しています。


-チームのスループットを上げるためには、何が必要だと考えますか?

タイプの異なる二種類のメンバーが必要です。一つは「事業を10xする人」。これは事業課題の解決力が非常に高い人です。例えばソフトウェアエンジニアリングの世界においては、ほとんどの人ができないことを一人の人が成し遂げる、というのが容易にありえます。事業開発においても、100人が電話してもできなかった大きな提携を一人が獲得する、など個人の創造力の発揮で10xな成果が生まれるケースは多々あります。成果から逆算し、難しい課題をなんとかしてしまうような人が、事業を10xする人です。

もう一つは、「組織を10xする人」。先ほどあげた「事業を10xする」メンバーばかり集まってもできないことってたくさんあります。典型的なところでいうとバックオフィス系や採用などの会社を運営していくためのオペレーションがありますが、それだけでなくコミュニケーションを円滑にすることや、メンバーが気持ちよく感情穏やかに働けるような環境を作ることだったり、バリューを浸透させ企業文化を育むなど、多様な側面があります。昨年ようやく一人このタイプの方が入社されたのですが、組織からこぼれたボールを拾う役回りを自律的に担うことで、チーム全体のスループットに貢献してくれています。

この二つのタイプのメンバーそれぞれが自律した上で、相手の領域をリスペクトして「背中を合わせる」関係が、いまの10Xの目指す組織像です。


オフィスでの雑談→Slackコールでの相談・雑談へ変革中

-普段の働き方について教えてください。

10〜17時をコアタイムとしています。スタートアップですが、長時間働くというよりは、集中して仕事して、それ以外の時間はしっかり休むとか自分の大事なことに時間をあててもらうことを大切にしたいと思っています。

-最近では会議中にお子さんが画面に映ることも多いですね。

平均年齢は30代前半くらいで、結果的にですが、社員の7割ほどが今子育て世代ですね。共働きのメンバーも多いです。
ちなみに、僕は毎朝4時に起きる超朝型なのですが、中には深夜型のメンバーもいますし、各自のパフォーマンスがでる時間で働いてもらえばいいと考えています。

また、現在は一時的に、「感染症の影響を抑えるために子供を家で見る」ということを社として推奨しており、その際に起きるパフォーマンス低下の影響、休暇についても会社として許容したいと考えています。

-大事にしていることはありますか?

元々は、Slack上や非同期ではなく「顔を合わせて雑談する」ということを大事にしていました。
雑談のいいところって、雑談から仕事の相談に変わる部分と、他の人にも聞こえるから自分に関係すると思ったらすぐ会話に入ったり出たりすることができることなんですよね。それによって仕事のスピードが早くなる。
Slackでの投稿は1日に10個くらいしかなくて、その50倍は口頭で話している、というのが3年くらい続いていました。

ただ、現在(2020年5月)は新型コロナウイルスの感染対策のため、完全にWFH(WorkFromHome=在宅勤務)制に切り替えています。

オフィスで直接話していた雑談の代わりとして、Slackコールを多用しています。Slackコールは、今誰がコールしてるかが表示されているので、関係ありそうと思ったら自由に参加できるのが良い点ですね。また、毎朝10時15分から全員でオンライン朝会を実施して、顔を合わせるようにしています。ランチでしていた雑談などが減ってしまったのは課題とも捉えていますが、こういう事態においてもスムーズに適応し、スピードを落とさずに進めているのは個々の自律性に助けられている部分が多いと感じます。

関係ありそうと思ったら自由に参加できる


-今後の働き方はどうなるのでしょう?

10Xではいまのところオフィスは解約はしていないのですが、新型コロナの影響は中長期かつ不確実だと考えています。仮にオフィスワークも活用できる状況になった場合、WFHとオフィス勤務をミックスしていくのだと思います。

オフィスの位置づけについてはよりコミュニケーションを中心とする場所としていくのではないでしょうか。(2019年夏撮影)


理想は「一人あたりの時価総額」が高く、クールな組織

-今後どういった会社組織にしたいですか?

一人当たりのスループットが、10xな企業を作りたいです。
人数を闇雲に増やすというよりは、人数と見合わないほどの大きなスループットが出る状態、かつそれが伸びていく状態を実現したいと思っています。すごく短絡的な指標を置くとするなら、「一人あたり時価総額」を上げたいんですよね。

-参考にしている企業はありますか?

国内では日本M&Aセンター、テック企業であればQuoraやNotionといった企業を参考にしています。

日本M&Aセンターは600名未満の人数で時価総額6,000億円を超える非常にレバレッジの効いたプロフェッショナルファーム。QuoraやNotionについてはプロダクトが非常に洗練されており、個人的に愛用しているばかりか、両者とも50名~ほどの従業員数ながら時価総額1,000億円を超えるユニコーン企業となっています。

両者に共通するのは、提供しているプロダクト(サービス)のレバレッジが効くという点だと思っています。美しく誰かの課題を確実に解決しているプロダクトと、高いレバレッジを両立する組織がクールだと思っており、10Xとしてはどうやったら実現できるんだろう、と考えています。

こういった背景もあり、今まではあまり積極的に採用活動を行ってこなかったのですが、先程話した新プロダクトを更に広げていくためにも、今後は一緒に働く仲間を増やしていきたいと考えています。

実務を通じたトライアル入社で互いのカルチャーフィットを理解

-改めていま募集している職種や人数・採用プロセスを教えてください。

計9職種19名ほどを募集しています。

9職種の採用ポジションをオープン


採用は「書類選考→面接→1dayトライアル入社」というプロセスを取らせて頂いています。
特徴は、内定前に必ず1dayトライアル入社を実施していることです。実際の業務を通じて、面接だけではわからないお互いの価値感やカルチャーフィット・入社後のイメージを確認し、ミスマッチを避けることを目的としています。候補者の方にとっては、10Xのメンバーがどのようにバリューを発揮しているか、確かめてもらう場にもしたいと思っています。

10Xのバリューを体現する人と、「10xを創る」を成し遂げたいと思っています。
少しでも興味を持って頂いた方はこちらの資料もご覧ください。

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