10XにおけるC向けのプロダクト開発とサービスグロースの考え方をチラ見せします

2022/1/24


こんにちは、10Xのグロースチームです。

みなさんは10Xという会社にどの様なイメージを持っているでしょうか。
10Xはその事業領域から、「小売のDX」といった文脈で捉えられることも多く、もしかしたらB向けにサービスを提供している会社、という認識を持たれている方も多いのかもしれません。

それはそのとおりで、確かにB向けのプロダクト開発もゴリゴリとやっているのですがが、その一方でいわゆる「C向け」のプロダクト開発もバリバリやっていますし、いままさにその分野が社内でもアツくなり始めています。

この記事ではそのあたりの話と、10Xのグロースチームの構造の全体像を紹介させてください。

<このブログの内容>
・10Xのモデルの簡単な説明
・C向けのプロダクトの改善と根拠となる分析のチラ見せ
・グロース体制の全貌の説明
・人材募集してます

10Xのモデル

サービスモデル

10Xは小売事業者向けにネットスーパー事業を立ち上げる手伝いをしています。
その一環として、消費者向けには、ネットスーパーをスマホで簡単に使えるAppの提供を行っており、これについても10Xが開発・改善を行っています。



このアプリはもちろん事業者ごとに個別に提供(ライフ様向けにはライフのネットスーパーアプリを個別でローンチ)はするのですが、裏の機構としてはStailer全体で共通化されていて、プラットフォームとしての開発・改善が個別のApp全てに反映されるような構造になっています。

ビジネスモデル

Stailerは「Take Rateモデル」というビジネスモデルを採用しています。 これはStailerでネットスーパーを運営している企業様のネットスーパー売上の一部を対価として10Xが受け取るという契約モデルになっています。

そのため、Stailerというプロダクトの改善を通してネットスーパー事業をグロースさせることで、直接的に10Xの会社としての収益が成長する、というわかりやすい構造を作ることができています。


この前提に基づき、10Xの中でこのサイクルを回し、ネットスーパー事業の流通額(GMV)の最大化を担うチームとして「グロースチーム」ではより良い買い物の体験を提供するためのプロダクト開発に向き合っています。

C向けプロダクトの改善

では、ネットスーパーにおける「良いお買い物」とはどのようなものでしょうか。 そのイシューにこたえるために、まずはそもそもネットスーパーにおける買い物とはどのようなものなのか、知っている必要があります。

ネットスーパーの買い物は普通のECとは異なる体験

皆様はネットスーパーを利用したことがあるでしょうか?実は、ネットスーパーはユーザ体験の観点から見たときに、他のECなどとは多くの特異な点を持っています。
典型的なネットスーパーサービスの代表的なKPIを見てみましょう。



ネットスーパーは利用者の生活に密着しているため、

  • ①「利用頻度がそれなりに高く」
  • ②「継続性が強く」
  • ③「一度の利用が重い」サービスです。

特に最後の点「一度の利用が重い」はプロダクトとして重要なイシューです。ネットスーパーの一般的な利用者は平均で20-25点(中央値で言っても15-20点)の商品を一度に買います。
これは、スマホを使ったサービスの利用体験としてはかなり特異で、一度試してみるとすぐに分かるのですが、「一度に20点以上の商品を」「スマホの操作で選んで買う」というのは決して楽な体験とは呼べません。

それをデータ分析で数値の観点から見てみましょう。 これは新規の利用者がネットスーパーで買い物をする時に必要な所要時間をFirebaseのアプリ操作ログから分析したものです。


この分析結果から、

  • 買い物をする点数が増えるほど、必要な所要時間は長くなる(決定係数0.92で明らかな正の相関が出ている)
  • 20点の買い物で、35分以上の時間が掛かっている

ということがわかります。

このように、ネットスーパーでの買い物には、時間が掛かり、数多くのフリクション(摩擦)が存在しています。これを少しでもなめらかで快適な体験に変えるために、Stailerはプロダクトとして絶えず進化する必要性があります。

使いやすいというUXが事業KPIに直結する

少し話は逸れるのですが、読者の皆さんは、プロダクトの改善において「UXの向上と売上などKPIが必ずしも関連しない」という状況に遭遇したことがないでしょうか。

これはサービスの内容とビジネスモデルによっては、往々にして起こり得ることだと思います。プロダクトの開発者としては「より良いプロダクトを」「よりなめらかなUXを」と考えていても、そういった活動が必ずしも事業KPIに直結しないというジレンマが起こってしまう。

一方で、10Xではデータの分析を通して、ネットスーパーという事業においては「UXの向上がそのまま売上のアップにわかりやすく直結する」という強い仮説を持っています。

こちらは、別の観点のデータ分析の結果です。
ユーザのネットスーパーの利用歴と、20個の商品を買う場合に掛かる所要時間の関係を分析したものです。


ここからわかることとして、

  • 前述の通り、使い始めのうちは36分もの時間が掛かっている
  • しかし、ユーザは利用を重ねるほどにAppの使い方や商品に熟練し、同じ商品数でも買い集めるのに必要な時間が短くなっていく(40%以上短縮している)

つまり、利用者は明らかにアプリの操作に習熟し、同じ量の買い物をより短い時間で行えるように適応してくださっていることがわかります。

面白いのは、次のデータです。
こちらは利用歴の長さと、1度の注文で買う商品点数の関係を表したものです。


買い物の所要時間が短くなるに連れて、1度の買い物で買う商品点数(バスケットサイズ、といいます)は右肩上がりに増えていくことがわかっています。これは、利用者は1点を買うあたりの必要時間が短縮されると、より多くの商品を手に取り、買ってくれる傾向があるため、と想像できます。

つまり、もしプロダクトのUIや機能を良くしていくことで、利用者が商品を買う1点あたりの速度を向上することが出来たら...? それがそのまま利用者の購入点数=購入額=売上 の増加につながるのではないかと考えられます。

グロースチームはこういった文脈を捉え、ユーザの買い物体験を良くする・なめらかにする、という点を重視してプロダクト開発をしていくことを考えています。

再購買という特殊性

また、前述の点以外にもネットスーパーはECとしてかなり特殊な点を持っています。それは「リピート商品」の重要性です。

通常のECやメディアなどのサービスと異なり、ネットスーパーは「一度買ったことがあるものを再度買う」という作業が頻度高く発生します。

実際の購買データを分析してみると次のような数字がわかります。使い始めて半年もすると、バスケットの商品のうち半分以上がリピート商材になっていることがわかります。



また、商材によって、同じ商品を再度買うか別の商品を試すかが異なるということもわかっています。面白いですよね。



こういった特殊とも言える買い物体験を提供するために、どういったプロダクトやUI、アルゴリズムが最適なのか、まだ確たる答えは見えずに絶賛議論中といったところです。

インサイトを活かしたFact Drivenな開発

10Xではプロダクトの改善方針を考える際、利用者に関するファクト(事実)とインサイト(洞察)を重んじます。
ここまで見てきたように、データを使った分析による利用者の統計・数値を丹念に見るようにしている他、利用者のインタビューを定期的に行うようにしています。

データ分析からは

  • 「どの経路からものを買うユーザが多いのか」
  • 「新規 vs. ヘビーで違いはあるのか」

といった”客観的な状況” を理解することができます。



一方で、データ分析は「客観的な状況」以上の情報、すなわち「Why(なぜ)」を得ることが出来ません。そこをインタビューといった定性情報で補っていきます。

たとえばこちらは、過去のN1インタビュー結果を「どの経路からものを買うユーザが多いのか」という上記のデータ分析と組み合わせるために、分析し直した結果です。



インタビューの内容から思わぬ仮説が見つかり、その仮説をもとにデータ分析をかけてみて、それが広く当てはまる事実なのかの検証を行ったり、というサイクルが組めます。

10XのN1インタビュー文化については社員のaineさんのnoteの記事なども見てみてください。

顧客のコアな体験を改善しつつ売上に貢献する

前述のように、ネットスーパーは利用者の日常に溶け込み、かつ繰り返し使い、一度の利用に時間がかかることがおおいため、「当たり前のことが当たり前にできるUX」が非常に大事で、かつこれらが回り回って売上のアップに寄与すると考えています。

  • 一度買ったことがある商品を簡単に買えるようにする
  • 上記がない場合の代替品が簡単に見つかるようにする
  • ユーザが意図的に"ほしい"と思っているものが簡単に見つかるようにする


これらは極めて当たり前、ユーザが当然に期待することでありながら、きちんと満たせていないことが多い。これをUser Expectation Meet(UEM, 通称:当たり前品質)と呼び、改善をはかっていきます。

前述のようにネットスーパーのビジネスではこういったUEMのための改善が、単に「満足度」のようなふわっとしたものではなく、購買個数のように売上に直結するKPIを変化させると考えています。

グロース施策とアルゴリズム

ここまでで紹介してきた、いわゆる「お買い物UX」的な話の他にも、グロースという文脈において、わかりやすく顧客の獲得や利用の促進に寄与するような開発もやっていきたいと思っています。バイラルの機能(友人招待など)やCRMの自動化・効率化、クーポン機能の磨き込みなども、開発のスコープです。

また、ネットスーパーは平均的に見ても10,000-15,000の商品があるのが普通です。小さなスマートフォンの画面の中で、それらの数多の商品に対してどのように検索性や発見性を担保するか、前述の再購買をどのように楽に行えるようにするのか、はひとつの大きなイシューです。

このイシューについては、パーソナライズ・推薦・併売・検索といった、機械学習やアルゴリズムの領域を用いた開発も活用していきます。

グロース体制の全貌

この記事では、サービスのグロースに必要な要素の一つとして、僕らが「Product UX」と呼んでいるコンポーネントの話をさせていだきました。

僕らが「グロース」と読んでいるものを少し俯瞰してみてみると、実は次の図のようになっています。もし、10Xが「グロース」と呼んでいるもののより全体像に興味がある場合は、是非見てみてください。


この図の中で、「Product UX」はネットスーパーが持つ価値を最大限発揮するためのインターフェースとして機能するもの、という位置づけで考えています。

サービスのグロースを分解すると、「価値の源泉(Value)」×「価値に触れるためのインターフェース(I/F)」×「価値の伝搬(Promotion)」の3つから成り立つと、10Xとしては整理しています。この3つすべてを適切に顧客に提供することがサービスのグロースにつながるわけです。

ネットスーパーにとって、それぞれを簡単にわかりやすい言葉に置き換えてみると、

  • Value = 「欲しい商品がほしい時にきちんと届くこと」
  • I/F = 「欲しい商品、配送日を簡単に操れるApp」(その他Webやお問い合わせ etc.)
  • Promotion = 「広告や販促訴求」

となります。
これらをわかりやすいコンポーネント名に置き換え、次のように呼称しています。

  • Promotion = Growth Marketing
  • I/F = Product UX
  • Value = Service Capability


また、この3つを適切に行うためのリソースの確保(=価値提供機会の最大化)もグロースの活動の範疇に含まれると考えています。具体的には事業計画の策定から、逆算での必要な予算・人員の確保など(Budgeting)の他、LTVなどの分析によってマーケティングの投資を正当化する取り組みなど。これらが事業の実際の運営上は非常に大事になります。



こうして見ると、サービスのグロースには非常に様々なスキルを持った人材が必要になります。 そんなわけで、10Xのグロースチームは常に一緒に働く仲間を大募集しています。

人材募集!

10Xのグロースチームでは以下の人材を募集してます。

募集ポジション(一部抜粋)

また、応募は迷っているが興味がある、という方は2月3日(木)19:00-20:30 にて、オープンオフィスをオンライン開催いたします。
本ブログの内容の解説や、現在のグロースチームの抱えている課題、チームの雰囲気がわかるコンテンツなどを予定しています。
少しでも興味ある方は、ぜひお気軽に参加してみてください。


その他にも多数の募集ポジションがありますので、採用ページ募集職種をぜひご覧ください。

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