【正直さ・対話・リスクテイク】CTOとエンジニアリング本部長が考える、成長し続ける事業を生む「組織づくり」のポイント

2023/7/28

2023年7月、10Xはエンジニア組織のさらなる体制強化のため、小迫 明弘がエンジニアリング本部長に就任しました。これにより、以前からCTOを務める石川が技術戦略を担い、小迫さんが組織マネジメントを担う2トップの体制にアップデートされました。

目指すは、事業フェーズの変化に伴い組織が拡大していく中でも、成長し、価値を出し続けられるエンジニア組織。石川さんと小迫さんのお2人に、それぞれの役割や今後の展望について聞きました。

小迫 明弘

@aki85135

エンジニアリング本部長

大学卒業後、複数回の起業で企画やデザインに携わった後、エンジニアとしてRettyに入社。EMを経てVPoEに就任し、長年エンジニア組織全体のマネジメントを担当。2023年1月10Xに入社。2023年7月より組織マネジメントを主に担うエンジニアリング本部長に就任。

石川 洋資

@_ishkawa

Co-Founder, 取締役CTO

面白法人カヤック、LINE、メルカリでソフトウェアエンジニアとして複数のモバイルアプリの立ち上げを経験。その後、メルカリで同僚だった矢本と10Xを創業し、CTOとして技術戦略とプロダクト開発全般を担当。

10Xのエンジニア組織に必要なのは、拡大を見据えた「少し先の視点」

——小迫さんが10Xに入社するまでの経歴を教えてください。

小迫:
8年半在籍した前職のRettyでは、エンジニアやEMを経験した後、5年ほどエンジニア組織全体をVPoEや執行役員の立場で統括していました。ちょうどその頃が組織の再編期だったのですが、自ら手を挙げて組織マネジメントを担うことにしました。

私はもともとエンジニア一筋のキャリアではなく、起業や企画・デザイン、経理など幅広く携わってきた経験があります。そのときの組織に必要だけど足りていなくて、かつ自分が向いている役割をやろうという思考が根底にあるんですよね。

5年間で組織としてのまとまりや成果を出すことができ、また信頼できる後任も見つけることができ、新しい体制に移行すべきと思えるタイミングが自然と訪れたんです。10Xにエージェント経由で声をかけてもらったのは、ちょうどそんな時期でした。

——10Xへの入社の決め手は?

小迫:
10Xのことは創業初期から知っていましたが、自分が働くとは全く想像していなかったというのが、当時の本音です。ですが、10Xの人たちが自分の価値観・思想とどこよりもマッチした感触を持てたことが決め手になりました。カジュアル面談やトライアル期間で、価値観・思想を知るために役員陣をはじめさまざまなメンバーと対話を重ね、時に答えにくい質問を投げかけたりもしました。
たとえば、代表の矢本さんには、「もし退職者が出たら、その人とはどう向き合いますか?」という質問をしました。ちょっと答えづらいですよね(笑)。ですが、矢本さんは「無理に引き留めるのではなく、理由を聞いた上で個人の意志を尊重したい」と正直に答えてくれました。その回答が自分の思想と合致し、経営陣とメンバーのあいだで「モヤっと」することが少なそうと思えたことも良かったですし、何よりその「正直」な姿勢が合っていると思えましたね。

——これまでは技術も組織もCTOとして石川さんが牽引してきました。なぜこのタイミングで、エンジニアの「組織」を束ねる役割を必要としたんですか?またその役割を小迫さんにオファーしたのは、どんな期待があったからですか?

石川:
現在、10Xのエンジニアリング組織はシニアエンジニアが集まる良い環境です。事業としても、エンタープライズ企業をパートナーとして迎えることができており、順調に推移しています。一方で、組織としての「マネジメント層の薄さ」には課題や潜在リスクを感じる場面も増えてきました

小迫さんの入社前は、社内に大規模なエンジニアリング組織のマネジメント経験者が少なく、実体験を持ってマネジメントのあり方を語れる人が不足していました。また、エンジニアの評価制度を再構築するにあたって、もう一段高い視座からの知見が不可欠だとも感じていて。

実務経験が豊富で、マネジメント手法の引き出しも多く持つ小迫さんは、私たちに足りない「少し先の視点」をもたらしてくれると期待していました。組織全体の成長速度が必ず高まるはずだと。

小迫さんのトライアルでは「エンジニアリング組織をどうするべきか」というテーマに、取り組んでもらいました。「そもそも今、組織はどういった課題に直面しているのか」「何をすることに最も価値があるのか」と、丁寧なヒアリングを行うところからスタートしてくれました。良い意味で過去の成功体験や固定観念にとらわれず、現在の10Xには何が必要なのかにフォーカスして向き合ってくれたのが印象的でしたね。

対話を通じて、これまでのプロダクト開発や技術的な意思決定における考え方とも共通点を感じて、「小迫さんとは同じ方向を目指していける」と思えたんです。トライアル後にオファーした際には、無闇に「来てほしい」と押すのではなく、10Xのエンジニアリング組織やStailerがなぜ小迫さんを必要としているのか、なるべく率直に伝えて意思決定は委ねました。結果として、小迫さんも10Xに加わることに意義を見出して承諾してくれたので、やはり上手くやれそうだなと思いましたね。

2トップ体制だからこそできること、変化したこと


——現在のエンジニア組織における、石川さんと小迫さんの役割分担について教えてください。

石川:
ざっくり言うと、私が技術戦略の領域を、小迫さんが組織戦略の領域を担っています。技術戦略で考えるべきは、私たちの事業に対してどのような技術的構造を持つべきか、そして、事業に対してどのように技術のレバレッジをかけていくかといったことです。


——小迫さんは、まずどんなことから取り組んでいったのでしょうか?

小迫:
私が入社してからの約半年間は、まず交通整理のような感じで、組織マネジメントの領域で石川さんがあまり手が回っていなかった業務から着手していきました。

最初に取り組んだ業務の一つは、会議体の見直しです。当時はどの会議で何を話すのかがルール化されておらず、似たような会議が複数存在していました。そこを整理することで、全体的な会議時間を減らし、会議に参加していないメンバーも議事録ですぐにキャッチアップできるようにしたんです。

それから、全エンジニアメンバーとの1on1も実施しました。あくまで個人的な考えですが、組織変革において、ビジョンを打ち出して大胆に変えていくようなやり方はあまり合っていなくて。どちらかというと、一人ひとりとの対話の中で生まれたアイデアを小さく試しながら、最終的に全体に広げられたらと思っているんですよね。

だからこそ、全員と話して、お互いの考えや価値観を理解しておくことが良い未来につながると考えています。普段から関係が築けていれば、何か問題が起きたり新しくやりたいことが出てきたりしたときにも、正直なコミュニケーションが取れて実現がスムーズですから。


——石川さんから見た、この半年間での変化は?

石川:
これまでは、私が技術戦略と組織戦略の領域を両方抱えていました。10Xがこれからさらに成長していくには、どちらも本気で考えていかなければいけません。今回、小迫さんのエンジニアリング本部長就任によって、もちろんお互いに協働しながらも、それぞれの領域により集中できる体制になったと感じています。

今まさに取り組んでいるのが、Stailerの品質をより高めるためのレイヤー分類とテスト戦略。小売エンタープライズのパートナー企業群が求める高いソフトウェア品質を担保しながら、安定稼働できるような構造とは何なのか、どうやったらそれを作れるのか、といった技術的なことを日々模索しています。ここに十分なリソースを充てられているのは、小迫さんに組織マネジメントを任せられるからこそです。

また、エンジニアリング本部のメンバーも、小迫さんにとても良い影響を受けているのではないでしょうか。とくにミドルマネジメント層に対しては、的確なアドバイスを示すだけでなく、打ち手も一緒に考えてくれています。組織全体が持続的に成長するために必要なことを、先回りして実行してもらっていると感じます。

——短期的な変化だけでなく、中長期的な組織の成長にもつながっているんですね。

石川:
10Xのエンジニアリング本部には、現在30名以上のメンバーが所属しています。人材の流動性が高まり、エンジニアにとって魅力的な企業も増えている今、この組織レベルを維持すること自体の難易度が格段に上がりました。

そんな中で10Xは、今いるスキルフルなメンバーに対してどのようなキャリアの機会を提供できるのか。今後メンバーの層が変化したときに、どのような組織の仕組みや施策が必要なのか。

事業が伸びていくと、組織のあるべき姿も変わりますよね。社員一人ひとりが長く活躍し、能力を最大限に発揮してもらえる。小迫さんが本部長の役割を担ってくれるおかげで、そんな環境づくりにも本腰を入れて取り組めるようになったと感じます。

エンジニアの価値発揮と、事業成長がリンクする組織へ


——エンジニアが現在の10Xで働く魅力は、どんなところにあると感じますか?

石川:
事業およびプロダクトの拡大フェーズの真っただ中で、技術的に解くべきイシューが多い点はシンプルに面白いと思います。どれだけ品質を高めても、どれだけスケーラビリティがあったとしても、利用してくれるお客様がいなければ、そのプロダクトには価値がありません。そんな、ある意味で当たり前のことを真面目に考えながら、エンジニアリングにおいて多角的に打ち手を実行していくことが求められているんです。

小迫:
加えて、エンジニアメンバーのスキルレベルが高く、カルチャーの純度を保っている組織は、世の中を見渡してもそう多くありません。この環境こそが、10Xの魅力だと考えています。

10Xのカルチャーを一言で表すなら、“正直”でしょうか。業務に向き合う中で、メンバーは私や石川さんに対して非常に率直な意見や疑問をぶつけてくれることが多いのですが、決して斜に構えてあら探しをしているわけではありません。本来の目的に対してまっすぐだからこその発信なんですよね。

——エンジニアリング本部における今後の展望を聞かせてください。

小迫:
私たちはスタートアップである以上、事業と組織を成長させることが使命だと考えています。その中で重要なのは、失敗を避けることよりも、いかにリスクを取って挑戦を積み重ねられるかどうか。ゆえに、前提としてスタートアップは組織が非常に崩れやすい環境でもあるんですよね。

そこで、現時点でクリティカルな問題がなくても、マネジメント体制、そしてその基盤になる一人ひとりとの信頼関係を丁寧な対話を通して整えておくことで、スケールに耐えうる組織にしていきたいと考えています。

加えて、何よりも事業成長に貢献できるエンジニア組織でありたいです。よく、ビジネスとエンジニアは対立構造に陥りがちだと言われますよね。それってすごく不幸なことだと思っていて。ビジネスの要望に、エンジニアが技術で応えて事業が伸びる。エンジニアの新しい技術が、ビジネスの種や実になり利益を生む。事業と組織が成長しているから、給与や仲間・環境といった良い形で跳ね返ってくる。そんな双方にポジティブな影響があるサイクルを作っていきたいと思います。

石川:
事業やプロダクトのフェーズが進むにつれて、これからも解消したい問題や取り組みたい課題が次々に出てくるでしょう。そのこと自体はすごく健全だと思いますが、それらがずっと消化されないのは組織として不健全な状態です。

一つひとつの問題や課題に対して、タイムリーに対処していきつつ、小迫さんの言うように事業を伸ばすことにコミットしていきたいと考えています。


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執筆・村尾 唯(@yui3x9

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