「体温のあるコミュニケーション」が鍵。10Xが地方パートナーの事業成功にかける想い

2023/10/20

「Stailer(ステイラー)」を通じて、日本全国のパートナー企業とタッグを組み、ネットスーパーやネットドラッグストアの立ち上げを支援している10X。2023年10月現在、Stailerは首都圏以外の地方パートナーへの導入も続々と進んでおり、東北から中四国地方まで、幅広い地域の小売業に伴走しています。

こうしたリリースの裏側で奔走するのが、立ち上げのローンチ期だけでなく、その後のサービス拡大に当たるグロース期にも深く・長く寄り添うBizDevメンバーです。10Xはそれぞれの地域や企業が抱える課題に深く寄り添い、事業を10xさせるため、地道な取り組みを積み重ねています。

今回、地方パートナーを担当するBizDev4名の対談を実施。ローンチからグロースまで、それぞれのフェーズで直面した困難をどう乗り越え、パートナーと信頼関係を築いていったのでしょうか。

赤木 努

@tsutomuakagi

Business Development

三菱商事株式会社 自動車事業本部にて、海外向け自動車輸出や事業投資先への出向(コロンビア・ペルー)などを経験。 帰国後はモビリティ分野における新規事業開発、海外M&Aを担当。2020年4月より10Xにジョイン。

勝谷 文彦

@nkatsuya

Business Development

NTTデータにて法人向けの大規模開発や営業を経験し、2014年にコイニー (現・STORES株式会社) に入社 。事業開発としてアライアンスパートナーとの提携交渉に従事。その後、採用人事やセールス等のポジションを経て、10Xにジョイン。

佐藤 諒介

Business Development

損保ジャパンで代理店営業に従事した後、エン・ジャパンに入社。エン・ジャパンでは新規事業開発室に所属し、B向けSaaSプロダクトの立ち上げや新規事業の立案業務を担当。2022年4月より10Xにジョイン。

角山 翔大

@shodai_chapt

Business Development

カカクコムにて事業開発・経営企画に従事したのち、LINE株式会社に入社。LINEとエムスリーのJVであるLINEヘルスケア社を設立し、事業企画室長として、健康相談やオンライン診療サービスを立ち上げ。2021年12月より10Xにジョイン。

「リアル」とオンラインのハイブリッドで、密なコミュニケーションを

——まず、皆さんが担当している地方パートナーについて教えてください。一つのプロジェクトにはどのくらいの期間携わるんですか?
赤木:僕が10Xにジョインした4年前、契約前からリリースまで一貫して担当した最初のパートナーが広島の老舗スーパーでした。当時はちょうどコロナ禍だったのでリモート中心でしたが、それから広島には何度も足を運びましたね。現在は、首都圏や近畿地方を中心に展開するスーパーマーケットチェーンなども担当しています。

佐藤:富山や山梨などが拠点のスーパーマーケットを4社担当しています。これまでは基本的にローンチからグロースまで一貫して担当していましたが、今後はBizDevチーム内で担当を分け、パートナーのフェーズに沿ってきめ細かに伴走できる体制に変えつつあります。

勝谷:愛媛や広島、長野の大手スーパーを3社担当しています。1社はローンチから入り、グロースフェーズまで1年ほど担当してきました。期間は案件によって異なりますが、基本的には半年、長くて1年ほどかけてローンチの準備を進めていきます。

角山:僕は、ドラッグストア全般を担当する部署の責任者をしています。異なるメンバーが、それぞれのパートナーを担当していますが関わり方の頻度や密度はさまざまで、パートナーの拠点も東北や四国など全国に広がっています。

——パートナーにはどのくらいの頻度で訪問しているのでしょうか?
角山:企業や時期にもよりますが、ローンチ前は月に1回程度は現地に訪問しています。

勝谷:僕も同じくらいの頻度です。大きな方針決めなど直接顔を見て話した方がスムーズに進みそうなアジェンダの場合は、なるべく現地に足を運ぶようにしています。

佐藤:僕は4社担当しているので、月に1〜2回はどこかしらのパートナーのところへ出張している感覚です。グロースフェーズになってからはオンラインでも週1回の定例会議を設けています。パートナーとは密にコミュニケーションをとり、同じ時間を積み重ねるよう心がけていますね。

ジャンボタクシーでパートナー拠点の地方エリアに10X社員が赴く様子

チラシ配り、ポスティング、ネットスーパー教室…「正解」がないからこそ、現場で手を動かす

——具体的にはどのように伴走していったんですか?印象的なエピソードも聞きたいです。
勝谷:伴走を始めた当初は、何が効果的な打ち手なのか正解がなく、手探り状態でした。だからこそ、現地に足を運んでパートナー企業や地域の特性を深く理解すること、自ら手を動かして検証することを大切にしていました。
たとえば店頭でチラシを配ったり、ネットスーパー教室を開催したり。周辺地域のマンションをポスティングしてまわったこともありました。10Xが大切にしている「As One Team」を体現する意味でも、現場担当者の皆さんに一方的にアドバイスやご提案をするだけでなく、自らが動くことは大切だと感じています。
実際先方の社長さんにチラシ配りの進捗をお伝えしたところ、「え〜もうそんなに配ったんだ!」とすごく喜んでいただけて、私たちも嬉しかったですね。

角山 :僕の事業部はドラッグストア担当なのですが、まずは「顧客解像度を高める」のが喫緊の課題でした。そもそもドラッグストアは他の業態と比べてもEC化が進んでおらず、地方に至っては、まだ成功事例を作り上げていく段階。
首都圏はターゲットやインサイトが比較的つかみやすい一方で、地方ではネットドラッグストアを利用するお客様の属性や困りごとがイメージしづらい状態でした。
そこで、あるネットドラッグストアのオープン前に店頭でチラシを配ったり、アンケートを実施したりして、お客様のリアルな声を吸い上げていきました。サービスの理解を深めるために、クーポンをお渡しして継続利用を促す「アンバサダー」施策も試験的に実施しましたね。
チラシ配りをしながら、周辺のスーパーのチラシを全部見て牛乳の価格を調査して、お客様に「ここの牛乳が一番安いですよ!」とお話ししたことも(笑)。こうした相場感は現地調査を通じて肌で感じる機会をできるだけ多く持つのが大事かなと思います。

店頭で来店したエンドユーザーの方に、10X社員自ら声をかけアンケートを取得する様子


——ノウハウが蓄積されていないからこそ、現場でトライアンドエラーを重ねるのが大切なんですね。ちなみに、伴走する中で「地方ならではの課題」だと感じた場面はありますか?
佐藤:都心部との違いという意味で実感したのは、「お客様にネットスーパーの存在を受け入れていただく難しさ」です。僕もネットスーパー教室やチラシ配りなどをしてみてわかったのですが、地方にお住まいの方々の間では「ネットスーパー=何らかの事情で店舗に通えない場合の代替手段」というイメージが根強く、利用ハードルが高い状態でした。
しかし、一度利用して満足していただければ、継続利用率は都心部と同じくらい高いというデータもあった。だからまずは、ネットスーパーに対する先入観を払拭し、「お得に買い物ができる便利な場所」と認知していただく必要があると思ったんです。
そこで、「ネットスーパー限定割引セール」と銘打って、「卵90円」のように店舗では実現できないような特価で売り出すことに。すると、急激に利用してくださるお客様が増えていって。ボトルネックを分析して施策を講じれば、ちゃんと成果が出るのだと手応えを感じたエピソードですね。

赤木:人口密度が低い地方で小売業が生き残るためには、お客様一人ひとりの満足度やロイヤリティ(企業やブランドへの愛着)を極限まで高めることが重要だと感じていて。反対に、一度ネガティブな印象を持ったら、そのサービスを再度利用するハードルが上がりやすい。だからこそ、一人ひとりのお客様とのあらゆるタッチポイントで満足していただく必要があるんです。
顧客数アップが狙える、Stailer以外のプラットフォームもあるとは思います。しかし、それでは「その店舗で買う理由」——つまりロイヤリティが薄れてしまう。Stailerは小売業者の「黒子」として小売業者がこれまで築いたブランド資産を消さずにネットスーパーやネットドラッグストアを立ち上げられるので、「お客様一人ひとりの体験価値を高める」という意味でも十分価値を発揮できるプロダクトだと考えています。
また特に地方だと、都心部では考えられないほどポイントカード普及率が高いスーパーがあります。ポイントカードをキーにすれば、店舗・ネットにかかわらず「その店で買う理由」になり得ますよね。そうしたメリットを経営層に丁寧にお伝えしたところ、ご契約に至った事例もあるんですよ。

黒子として、各社ならではの顧客体験を高める細やかな工夫を重ねています(現地での商品受取研修の様子)

10Xは「新しいチャレンジをともに探索するパートナー」

——他に10Xの強みを活かせたと感じた瞬間があれば教えてください。
佐藤:先ほどもお伝えしたように、地方におけるネットスーパー、ネットドラッグストアの成功事例はまだ少なく、とにかく情報がない。手探りで取り組みを進めている小売業者は少なくありません。
そんな中で10Xに期待していただいていることとしては、大きく2つあると思っています。
1つは、Stailerの「プラットフォームとしての機能」。10XのStailerはプラットフォームとして、さまざまな小売業のデータやノウハウが蓄積、横断的に可視化されている。パートナーにも、他社の取り組みの一部を抽象化して共有し、自社の分析に役立てていただいています。
もう1つは、「データ分析を通して最先端の解像度を提供できる」こと。経験豊富な現場担当者でも、「店舗での販促施策には詳しいけど、アプリやWeb広告などはわからない」という方も少なくない。だからこそ、データを活用してともに手を動かしながらPDCAを回していけるのが、私たち10Xの強みだと思っています。
例を挙げると、オープン記念のキャンペーンでお客様にボックスティッシュをお渡ししていたんですが、なかなか結果につながらなかったんです。そこで施策の定量的な効果をデータで検証し、改善のご提案をしていきました。その結果実施したのが、先ほどお話しした「ネットスーパー限定割引セール」です。

——まさに10Xの強みを活かせた事例ですね。パートナーの方からはどんな声が寄せられていますか?
角山:10X、StailerとしてもPMF段階で、試行錯誤を重ねながら事業を拡大させていこうとしています。そんな私たちの姿勢を見たパートナーの方からは「新しいチャレンジをともに探索するパートナーとして、良い関係を築いてくれている」という言葉をいただいたことがありますね。これからもゴールや志をともにするパートナーとして、伴走を続けていきたいと思っています。

体温のあるコミュニケーションで、事業を10xさせる伴走者に

——他にパートナーとの関係性構築に向けて意識していることがあれば教えてください。
勝谷:僕が意識しているのは、月並みですが「現場の声を聞き、相手の目線に立つこと」です。
誰でも、新しい仕組みやサービスを使う前ってわからないことだらけで不安だと思うんです。だからこそ、ローンチ前には実際にサービスを使うパートの方や配送業者の皆さんにオペレーションをお伝えしつつ、疑問点や質問には一つひとつ丁寧にお答えしていきました。
時々「よくわからん!」みたいな小言も言われながらですが(笑)、それでも疑問を解消できるとうまく回るようになる。
現場の皆さんが、サービスのどんなところが使いづらいと感じるのか。現場に行ってそうした声に耳を傾け、一緒に操作をしてみることで、機能・オペレーション面の課題や改善点に気づくこともあります。

赤木:僕は入社してからずっと「with コロナ」だったからこそ、オフラインでコミュニケーションできる機会は大切にしていました。
なるべく現地には前泊して店舗や出荷センターを視察するようにしたり、時に店舗の方々と夜遅くまで地酒を飲み明かしたり(笑)。そうやって対面で時間を重ねる中で相互理解が深まり、早期に打ち解けられたと思っています。

店舗バックヤードでの一コマ。現地に赴き、オペレーションを直に確認・調整(そして作業)します


——たしかに、ビジネス以外の接点を増やすことも大切かもしれませんね。
角山:僕もドライでビジネスライクな会話ばかりではなく、「人対人」で体温のあるコミュニケーションをとるように心がけていました。パートナーの皆さんと飲み会などのフランクな場でざっくばらんに会話する中で生まれるアイディアもありますしね。

佐藤:Notionなどのオンラインツールも操作ガイドを渡すだけではなく、隣に座って同じ画面を見ながら一緒に触ったり、電話での雑談や飲み会でプライベートな会話をするようにしたり。パートナーの皆さんに少しでも心を開いていただけるよう、できることはなんでもやっているつもりです。
都心・地方にかかわらず、僕は事業伴走にあたって「愛で包む」というポリシーを大事にしていて。私たちは心から「パートナーの事業が拡大してほしい」と思っているし、相手にもそれを信じてもらいたい。
パートナーの事業を10xさせるために私たちBizDevメンバー、そして10Xができることは、これからも全力でやりたいと思っています。

執筆・安心院 彩(@Ayaaa_ajm

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