代表 矢本に聞いてみた! 「最近の10Xについて詳しく教えてください!」
2024年は、それ以前と比べて10Xにとって新たな情報発信が少ない1年でした。
実は、2023年末、10Xはそれまでの事業計画を見直しました。
2024年はそれに合わせて組織体制も事業も大幅な改革を推し進め、代表の矢本が新規事業の立ち上げも推進し、いずれも期待した成果を得られる状況になってきました。
2024年に組織・事業ともに黙々と取り組んでいたこととは一体何なのか、2025年に向けた展望とともに代表の矢本に語ってもらいました。
丸紅株式会社、NPOを経て株式会社スマービーの創業から売却を経験。株式会社メルカリ子会社にて新規事業のプロダクトマネージャーを経て、10Xを創業。
2024年は、組織も事業も構造改革した年
──まずは2024年の振り返りから行っていきます。10Xでは、この1年どんなことに注力してきたのでしょうか?
会社の構造改革に注力した1年でした。「どうやって10Xがやりたいことを事業で実現するのか」「その事業でどうやって勝つのか」という事業面と、「それを実現できるのはどんな組織なのか」という組織面の両方を、大きく変えるチャレンジをしました。
──具体的には、どんな変化があったのでしょうか?
これまでの10Xは、たくさんのパートナー企業が急速に増えていく未来を描いていたけれど、実際はそう簡単にはいきませんでした。ネットスーパーという事業自体を、長い時間をかけて日本の産業として育てていく必要がある。それを真正面から捉え直した1年でした。
注記)10X社内では取引先企業様を、パートナー、もしくはパートナー企業と呼んでいます。
Stailerの主な収益源はパートナー企業からいただく固定費とネットスーパー売上連動費のふたつです。そのため、10Xのビジネスを大きくしようと思えば、パートナー企業数を増やして固定費を増やすか、パートナー企業のネットスーパーの売上を伸ばして売上連動費を増やすか。パートナー企業の売上向上に貢献してきた自負はあるものの、これまでの仕組みのままでは、より深くパートナー企業の利益までを追求するのは難しい、と感じていました。
ネットスーパーを産業として広めていくためには、パートナー企業が継続的に利益を出せる事業にする必要があります。ネットスーパーの便利さは、すでに多くの方が実感いただいている状態です。このインフラを維持するためにも、パートナー企業側に利益がきちんと残るようにしていかなければいけないと痛感し、向き合い方を変化させました。
──それを実現するため、10Xはこの1年、プラットフォームとしてどんな変化を進めていたのでしょう?
プラットフォーマーとしての役割を見直し、より踏み込んだ支援ができるように変化してきました。具体的には、ソフトウェアで明確にコストを削減したり、粗利を向上させたりと、パートナー側のPLに変化をもたらすことに強く注力してきました。こういった支援に一歩踏み出せたのは、2024年の新しいチャレンジでしたね。
──この他に、今年は新規事業の立ち上げも進めていたそうですね。
2024年4月から、パートナー企業の1社と戦略的に取り組みを始めました。具体的には、中期経営方針の理解や、財務分析、現場オペレーションの体験等、ネットスーパーに閉じずにパートナーの経営課題の解像度を上げるための活動です。私たちの新しい挑戦を快く引き受けてくださって、本当にありがたかったです。
こうした中で、彼らが認識している課題や、まだ認識していないけれど重要な課題に対する解像度がぐっと上がり、私自身のスーパーマーケットへの理解も深まりました。
こうして抽出した課題に対し、ネットスーパーに限らずこれまで10Xが培ってきた能力をどのように発揮できるかを考えることで、新規事業のこれからの方向性が見えてきました。
──新規事業の方向性が見えてきたのは、嬉しい転機ですね。
そうですね。しかし、これまでのネットスーパー事業に力を入れてきたから、得られた資産がたくさんあるんですよ。ネットスーパー事業を通じて、小売業界の方々と信頼関係を築いた結果、今では10Xは小売業界の課題や未来をご相談いただけるようになりました。また、これまで小売業界の川上から川下までを一貫して見てきたから、店頭ではどんな問題が生じやすいのか、店頭で働く人たちはどんな問題を抱えているのか、解像度が上がってきています。
これまでネットスーパー事業に全力で取り組んできたからこそ、今のネットスーパー事業だけでは解決できない小売業界の多くの課題に気づけた。弱点を補うために試行錯誤していたから、新規事業の扉が開いたんです。
10Xは、小売業の皆さんと日本の食文化を支えていきたい
──そもそも、なぜ新しいチャレンジとして、ネットスーパー以外の領域に目を向けたのでしょうか?
シンプルに、インパクトが大きいからです。単に私たちの売上を上げるだけでなく、小売業界への経済的なインパクト、そして社会的なインパクトも含めて、価値の総和が非常に大きい。だからこそ、ネットスーパー以外の領域、あるいはネットスーパーから派生する領域にも挑戦しようとしています。
──社会的なインパクトについて、もう少し具体的に教えていただけますか?
まず、日本の地理的な特徴から説明させてください。日本には約20の山脈があって、これによって平地が分断されています。ここに、小売業界の面白さが詰まっていると私は思っています。山脈による分断のおかげで、日本では一社が全国を寡占するような状況になっていないんですよ。各地域に独自のスーパーマーケットが発展し、その地域ならではの食文化が育まれています。
これは、ネットスーパー事業に挑戦された経営者と今年話をして気づいたことです。その方との話を通じて、スーパーの意義を深く考えるようになって。私たち10Xが支えているのは、料理をするもっと一歩手前。つまり、「各地域の食文化を守るインフラがスーパーなんだ」と腑に落ちたんです。
各地域で独自のサプライチェーンを作り、その土地の食文化を支えるスーパーがある。そのサプライチェーンの複雑さや、なぜその地域でそれが成立したのかを知ると、私たち10Xが社会に与えるインパクトの大きさがより一層理解できると思っています。
10Xが培ってきた“4つの強み”
──これまで10Xが取り組んできたネットスーパー事業は、それほどまでに難易度が高いのですね……。では、そんな難しい課題に、なぜ10Xは取り組めてこれたのでしょうか?
私たちなりの4つの強みがあるなと思っています。
──4つの強み?
はい。1つ目は「会社対会社の信頼性」。財務諸表には乗ってこないけれど、大事な資産です。この信頼関係があるからこそ、小売企業一社一社の違いや、抱えている課題も解像度高く知ることができていると思っています。
2つ目は「顧客への深い理解」。Stailerは、スーパーでお買い物をするお客さま向け、スーパーで働くスタッフ向けの両方の機能を開発しています。どちらの場合も、プロダクトを開発する際には、実際に利用される方に触っていただきながら改善点を見つけていきます。また、ユーザーヒアリングだけでなく、私たち自身も現場に入らせていただき、使い勝手を確認しています。
消費者とビジネスユーザー、両方の視点から徹底的に解像度を上げていくことで、本当に使いやすいプロダクトを作り上げていきます。
3つ目は「プロダクト開発力」。1つ目や2つ目の強みは、正直10X以外の企業でも持っているところが数多くあると思っています。私たちの強みは、そこから良いプロダクトを作れること。UXを大切にし、顧客やスタッフの体験という感情を理解して、プロダクトに落とし込んでいくんです。
また、小売業に特化しているからこそ、一般的なSaaS企業では取れないような詳細なデータまで収集・分析できると考えています。例えば、全業種向けに勤怠管理ツールを提供している会社は、ネットスーパーのピッキング作業の指標までは取らないはず。でも本当に現場の勤怠を最適化しようと思えば、各業種の細かい指標まで見る必要があります。だから私たちは小売業に特化し、細かいデータまで収集し、活用しているのです。小売業に特化し、小売業の方々に使っていただくことを制約として課すことで、それが強みとなっています。
そして4つ目が「成果報酬型のビジネスモデル」。私たちは、製品が出した価値に応じて対価をいただいています。そのため、パートナー企業で成果が出なければ、私たちの売上も伸びない。だからこそ私たちは、自分ごととしてパートナー企業の成功に伴走しています。
この4つの資産が、10Xがネットスーパー事業という難しい課題に向き合い続けられる理由につながっていると思っています。
「必死さ」と「緊密さ」で、人も事業も成長していく
──10Xの強みを作っているのは、事業を成長させ、組織文化を作ってきた社員一人一人の力ですよね。矢本さんは、10Xにはどんな社員が多いと感じていますか?
今は「必死さ」が特徴だと思います。例えば新規事業に関わるメンバーは、不確実性への耐性、スピード、品質など、高い基準を自分たちに課して動いてくれています。過去の失敗も含めて多くを経験したからこそ、自分たちに求めるレベルが自然と高くなり、それによって必死になる、という循環が起きているように見えます。
──例えば、どんなところに必死さが表れていると思いますか。
今私たちが取り組んでいるのは、100やって99失敗するような世界です。ネットスーパーも新規事業も、簡単には成功しません。でも、そんな世界で「成果を出したい」という気持ちが強い人が集まっているから、不確実性の高いことにも必死に取り組んでくれているのかなと思っています。本当にありがたいですよね。
──2024年は、社内の必死さがより増したように感じました。
今年の秋に開催したオフサイトの資料を見返したら、必死さを感じるキーワードがいくつも入っていました。「会社の状況を変えなければいけない」という危機感は社内に向けて何度か発信してきましたが、浸透してきていると感じています。
実際に、今の10Xの組織はすごくシンプルです。事業と成果へフォーカスしやすい組織構造ではあると思います。
──今の10Xは、シンプルに「コト」に向かえる組織なんですね。さて、現在10Xでは久しぶりの採用を行っています。よりコトに向かう組織となっていくためにも、どんな方に仲間になってほしいですか?
「緊密さ」を大切にできる人ですかね。10Xの事業は、ネットスーパーも新規事業も、まだまだ不確実性が高い状態です。うまくいくかどうかはもちろん分からないし、方向転換も頻繁に起こります。そこで必要なのは「よく話す」こと。気になったらすぐに話す。同じものを見て話す。同じところに集まる。これが大切なんです。
──よく話すために、社内ではどんな工夫をされているのでしょうか。
気になったことがあれば定例会議まで待つのではなく、その場ですぐに話し合うように伝えています。
例えば週1回の定例会議だと、単純計算で年間50回しかコミュニケーションの機会がありません。しかし、「気になることがあったから、今から1時間後にミーティングをしましょう」という文化を浸透させれば、1週間後には相当な差がつきますよね。同時に、10Xにはリモート勤務がメインのメンバーもいるので、オンラインでもすぐに話せる工夫をしています。どんな場面においても、「緊密さ」は重視していますね。
社内ではslack内でgoogle meetを呼び出せます。こちらはBizDevメンバーがエンジニアに相談しています
ドキュメントがきれいに書けるのも、ミーティングの仕切りが上手いのも、すばらしいスキルです。しかし、10Xはスタートアップです。今のフェーズでは、もっと必要なスキルがあります。とにかく、緊密に働けるかどうか。気になったことがあれば遠慮しないで聞いてほしいし、何かに違和感を覚えたら積極的に発言をしてほしい。その環境で成長したいと思える方なら、10Xのスピード感も不確実性も、楽しんでいただけるんじゃないかなと思います。
プロダクトで小売業界を変える価値を作り続ける
──最後に、2025年に向けた話も聞かせてください。2024年、10Xは転換期を迎えました。来年は、小売業界や社会にどんなインパクトを出していきたいですか?
ネットスーパー事業と新規事業、両方の話をさせてください。
まずネットスーパー事業について。2024年は、パートナー企業の黒字を出すことにフォーカスしてきました。今年は、とにかくアナログに手を動かしましたね。その結果、どんな行動が利益につながるのか、ヒントを掴めた年になりました。来年は、成果が出たものをプロダクトに落とし込んでいく年にしたい。これによって、利益を出しながら事業を伸ばしていくためのノウハウがプロダクトに詰め込まれていく。それが形になれば、小売業界やネットスーパー産業に対する見方を変えるきっかけになると思っています。特に小売業界の方々には、来年の10Xの動きを楽しみにしていてほしいですね。
──新規事業についてはいかがですか?
来年は複数のプロダクトをリリースすることが決まっています。それによって、10Xがどうバージョンアップしていくのかを示したいんです。ただし、単なる「お披露目」が目的ではありません。きちんと顧客に届けて、価値を出すところまでやり切りたい。2024年の1年間をかけて準備してきたものを、2025年は形にする年にしたいと思っています。
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