多様な専門家がいる10Xに、大手ECサイトを“10x”させた知識と経験をかけあわせて、ネットスーパーの未来を作っていく

2023/10/12

このたび、10Xに新しい取締役が就任することになりました。2023年3月にグロース本部に入社し、パートナー企業のグロースをリードしてきた橋原正明さんです。

10Xにジョインする前、橋原さんは事業者向けの資材ECサイト「モノタロウ」で執行役を務め、まさに「事業を10x」させて来ました。

大手優良企業で活躍していた橋原さんが、10Xにジョインした理由とは?そして、グロース本部を、10Xを通じて、どんな社会を作っていきたいのか。お話を伺いました。

橋原 正明

取締役Chief Growth Officer

コンサルティング会社、金融会社を経て、2011年に株式会社MonotaRO(モノタロウ)に入社。2015年より執行役としてマーケティング、商品調達、SCM部門の責任者を歴任。2023年3月に10Xに入社し、パートナーの事業グロースを担当。note :  https://note.com/hashihara

発注側なら「ここにお願いしたい」と思えるメンバーが集まっている

——まずは、橋原さんのこれまでの経歴を教えていただけますか。

橋原:Webマーケティングのコンサルティング企業、金融会社、事業者向けのECサイトを運営する株式会社MonotaRO(以下、モノタロウ)を経て、2023年3月に10Xに入社しました。モノタロウには2011年から11年在籍し、2021年には専務執行役マーケティング部門長を務めていました。

モノタロウは、私が入社した当時は売上220億円程度の企業でしたが、退職する頃には約2,200億円の規模に成長。“10x(=10倍)成長”を体験させてもらった会社でした。


——優良企業の執行役として活躍していた中、10Xに入社を決めた理由は何だったのでしょう。

橋原:モノタロウは「10年コミットしたら事業の本質が掴めるんじゃないか」と考えて入社した企業でした。そして10年以上仕事をした結果、売上は10xし、業界の構造が変わっていく瞬間を目の当たりにしました。そこで、今後の10年をどうしようかと考え始めたときに、エージェント経由で10Xを紹介してもらったんです。

その時点で10Xのことは「ネットスーパーのアプリを開発している会社」程度の認識でした。ただ、私自身が長年ECサイトのマーケティングをしていたので、事業の難しさはなんとなく分かっていて。「ネットスーパーは、果たしてビジネスとして成立するのか?」と疑問に思っていましたね。


——その疑問はどのように解消していったのでしょう。

橋原:当時の10Xが公開している資料を見たところ、1回あたりの注文単価とリピート率の高さが想像以上でした。社会インフラとしてこんなにも需要があるんだ、と関心を持ったんです。

それからは面談を通じていろんなメンバーと話したのですが、一人ひとりのスキルの専門性と多様性が高いことにも驚きましたね。たとえばデータ関連の職種だけでも、データエンジニア・データアナリスト・データサイエンティストがいる。私が発注側なら「ぜひこんな会社にお願いしたい」と思えるメンバーが集まっているんです。

ただ、こんなに多様なエキスパートが集まっていても、ネットスーパーをビジネスとして成功させるのは難しい。でも、難しい課題だからこそやりがいがある。次の10年は、ここでチャレンジしたいと思い、ジョインを決めました。

余談ですが、モノタロウは兵庫県に本社があっため、私も長年兵庫に住んでいます。息子の少年野球の監督もしていたことから、転職してもこの土地を離れたくないと思っていて。その点、10Xは東京に本社がありますが、代表の矢本さんを含め地方からリモートワークしている人がたくさんいる。そこも10Xにジョインを決めた理由のひとつですね。

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半年間毎日、全パートナーのデータを見て試行錯誤を繰り返した

——10Xにジョインしてから、約半年が経ちました。この半年、どんなことをされてきたのでしょうか。

橋原:入社直後に参加した経営合宿で、代表の矢本さんから「橋原さんのミッションは店舗のGMVを伸ばすことです!」と言われ、全社目標の中にも組み込まれていたんです(笑)そのため、この半年は「ネットスーパーの需要の創出」をメインに取り組んできました。

過去の数年、新型コロナウイルス感染症の流行で、ネットスーパーの需要は急増しました。そして世の中が「コロナ後」に移行しつつある現在も、都心部での需要は高く、供給が追いついていない状況です。一方で、地方ではそもそもネットスーパーの存在すら知らない人も多い。つまり「知らないから需要が生まれない」状態です。

まずは自分が普段使っている店舗でも、ネットスーパーがあることを認識していただく。その後にサイトやアプリにたどり着き、初めてのネットスーパーでの買い物を体験してもらう。その一連のプロセスの改善に注力してきました。


——「知らないから需要がない」といった課題はどうやって見つけていったのでしょう?

橋原:前職で10年以上ECの事業運営に携わってきたので、どのデータを見たらボトルネックを炙り出せるか、そこにどんなアクションを打てば改善できそうかは分かるんです。

しかし、当たり前ですが、前職の「事業者向けの資材通販サイト」と、10Xが取り組む「一般消費者向けのネットスーパー」では、対象となるお客様が大きく異なります。たとえば個人だと少しでも安いものを買うために、買い物に時間をかける人は多いですよね。でも、法人で同じことをしていたら、お得に購入できた差額よりも、会社が支払う人件費分が上回ってしまうかもしれない。このように、個人と法人では、商品購入における優先順位が異なります。

どこにどんなアクションを行えば事業成長につながるのか。業界が変わっても考え方が共通する点はありますがが、実際にどれだけの成果が出るのかは、やってみないと分かりません。その差分を埋めるために、毎日すべてのパートナーのデータを見て、それぞれにあった施策を考えて、検証する。この半年は、その繰り返しでした。


——具体的には、どんなことに取り組んだのでしょうか。

橋原:機能開発を伴わずとも、サービスの設計やオペレーションの改善でボトルネックを解消できそうなことに取り組みました。たとえば、需要はあるのに十分なキャパシティがない店舗には、受注の機会損失額を提示した上で、スタッフ人員の増加や作業生産性の改善を提案する、などです。

「どの段階でお客さんが離脱しているか」は、各店舗ごとの傾向がデータに現れるので、まず取り組めそうなことをパートナーと一緒にトライし、出た結果を評価していました。

ちなみに、先程もお話したように10Xの中には多種多様な専門家がいます。どんなマーケティング施策を打てばネットスーパーの認知を拡大できるか、どんな特売をすればカートに商品を追加したくなるか、などの具体的な施策は、それぞれの分野で知見と経験を持つ専門家たちと一緒に検討していていました。

これがもし、スーパー各社ごとに取り組んでいたらどうでしょう。1社単独で、これだけの専門家を集めてECサイトをオープンするのは、正直かなり難しいと思います。もしできたとしても、赤字は免れません。10Xは複数のパートナーと一緒に開発・運用するプラットフォームのモデルだからこそ、この課題をクリアできているのだと思います。


——この半年間の試行錯誤の結果はどんなものだったのでしょうか?

橋原:半年前は注文自体がほとんど増えていなかったような地方のエリアにおいても、毎月のように過去最高の売上を達成できるようになってきました。その結果、ネットスーパーの拡大や導入に消極的だったパートナーさんへも「地方でもネットスーパーの需要がある」と、自信を持って提案できるようになりました。

入社1ヶ月目で、大手パートナーから事業戦略の相談を受ける

——他に半年間10Xで働いてみて、印象に残っていることはありますか?

橋原:入社して1ヶ月くらいの頃に、パートナー企業である大手スーパーマーケットチェーンの社長との面談を経験したことは印象に残っています。その企業が数年後に目指す売上規模を、どう達成するか一緒に戦略を考える、という機会でした。

その面談の中で、私はこれまでStailerで蓄積したデータをもとに数年間のロードマップを作り、ボトルネックになりそうなこと、Stailerで実現できそうなことをレポートにしたんです。実は、私としては、前職で身につけた知識や経験を10Xに置き換えて適用しただけで、そこまで目新しいものではないと思っていました。しかし、そのレポートは、パートナー企業の方からも社内からも、想像以上に何度も参照される資料となりました。

私は長年ECサイトに携わってきた経験から「ECの成長モデル」がある程度は言語化できています。しかし、初めてECに取り組むパートナー企業が、数多くの事業数値を一目しただけで構造的に理解することは難しく、日々の判断に迷うことは多いはず。私の知識や経験は、10Xやパートナー企業にも喜んでいただけるんだな、と入社してすぐに実感が持てたことは自信につながりましたね。

あとは、メンバー全員で日々のパートナー各社のネットスーパーの注文件数を確認して、一喜一憂するのは新鮮かもしれません。


——メンバー全員で一喜一憂する、とは?

橋原:毎朝、Slackで各パートナーの実績レポートが自動で流れるのですが、想定より多かったら「おおー!」、少なかったら「ぐぬぬ」ってSlackリアクションがつくんです(笑)。

10X社内のSlackチャネルにて、日々のオーダー数が可視化されています


なぜ新鮮に感じるかと言うと、ある程度成熟したECサイトでは、どんな施策を打とうともそこまで大きな変化は起きないんですよ。たとえば1日に10億円売り上げるECサイトが、施策次第で突然20億円になることはない。

でも、発展途上のネットスーパーの世界だと、全体数がまだ小さいからこそ、施策次第で上にも下にも大きく変化するのが面白いんです。仮説を立てて、アクションを打って、日々の数字を見て答え合わせをする。それは今のネットスーパー市場の規模だからできることだと思いますね。


——なるほど。Slackでのメンバー間のやりとりのお話が出てきましたが、社内の雰囲気はどう感じていますか?

橋原:メリハリがありますよね。たとえば、どんな些細なことでもドキュメントに残すかっちりした一面もあれば、Slackは役職や年次関係なく和気あいあいとしている。みんなSlackリアクション大好きですしね(笑)


——仕事の進め方で、前職との違いを感じることはありますか。

橋原:「スタンスをとる」ことが増えましたね。事業会社の意思決定は、「まずは施策をやってみて、結果が出てから今後を決めよう」というやり方が多いと思うんです。つまり、やる前から意思決定する、いわゆる「スタンスをとる」ことは少ないはず。

でも、10Xの場合は施策の主体はパートナーになるため、パートナーを説得して、意思決定を促さないとスタートラインに立てません。未経験の施策に対して「本当に始めてもいいのか?」と不安を感じているパートナーに、「これでうまく行きます!」と言い切らないといけないんです。これが、自社のECサイトではなく、パートナーのECサイトを運用することの難しさでもあり、面白さでもありますね。

買い方の選択肢を増やす。それを、グロース本部がリードする

——前職の知識や経験を活かし、入社半年で「ネットスーパーの需要の創出」の結果を出した橋原さん。今回Chief Growth Officer(CGO)となりましたが、管掌組織であるグロース本部ではどのようなことにチャレンジしていく予定ですか。

橋原:需要と供給のバランスをうまく取れる組織にしていきたいですね。同じパートナーでも、店舗によって置かれている状況は変わってきます。需要過多な店舗もあれば、供給過多な店舗もあって、その状況を作っている背景もそれぞれ異なる。店舗ごとの需要と供給にあったレバーを適切に引ける組織にしていきたいです。


——理想的な組織ですが、実現はかなり難しいのではないでしょうか?

橋原:そうですね。先程もお話があったように、私たちだけではなく、パートナーや店舗ごとの責任者もいますから。

でも、Stailerではスーパー向けも消費者向けも一環して開発・運用に携わっているからこそ、すべてのデータがとれるんです。たとえば、消費者向けのアプリしか開発していなかったら、店舗の状況は分かりません。その点Stailerはどちらの状況もデータがとれるから、「この店舗はピッキングに時間がかかっている」とか、「この店舗は人員の割に配達枠が少ない」とか、店舗ごとの課題が可視化されやすい。これはStailerの圧倒的な強みです。

データから店舗ごとのボトルネックを見つけて、PDCAを回しながら需給バランスをコントロールするケイパビリティを獲得していく。それが、グロース本部でやっていきたいことですね。

さらにこの需給バランスが取れると、もう一つ上の姿を目指せると思っているんです。


——もう一つ上の姿とは、どんなものでしょう?

橋原:日本のスーパーのEC化率がどんどん増えていく状況です。

需要が高まっても、ピッキングやパッキング、配達の人員を絞っていたら機会ロスになる。逆に、ネットスーパーのために人員を確保していても、注文が少ないと赤字になる。需給バランスをうまくとることで初めて、売上成長と黒字化の両立が可能になります。これにより、再投資の余剰が生まれ、ネットスーパーの市場拡大が進むと考えています。
日本にネットスーパーを普及させるためにも、需給バランスの改善は早急に取り組んでいきたいです。


——ありがとうございます。最後に、橋原さん個人として、ネットスーパー事業に対する想いはありますか?

橋原:一般消費者として、普段使っているスーパーがEC化すると嬉しいですね。自宅の周りに、何軒かスーパーがあるんですよ。その中には、ネットスーパーに対応しているところもあります。でも、私のお気に入りのスーパーではまだ導入していなくて。

店舗に行くも良し、ネットスーパーを使うも良し、と選択肢が増えると嬉しいなと思うんです。そう感じている消費者は、私だけではないはず。それを実現するためにも、ネットスーパーの黒字化は欠かせないですね。

ネットスーパーはいろんな課題が複雑に絡み合っています。時間も労力もかかるから、これまで本気で解決しようという人は少なかった。でも10Xには、課題を分析して紐解ける、多様な専門家がいる。その各分野の専門家が力をあわせて一つ一つ課題を紐解いていけば、10年後にはネットスーパーが日本中に普及している姿を見れるんじゃないか、と期待しています。その舵取りをリードしていきたいですね。

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