「事業の現在地を見つめなおすきっかけに」As One Teamなインサイドセールスの取り組み

2023/9/8

Stailerのリリースから3年。10Xは、これまでさまざまなパートナー企業のネットスーパー・EC事業立ち上げに伴走してきました。その中で見えてきたのは、市場をさらに広げていく必要性と、「Stailerをもっと多くの小売事業者の方に届ける」という10Xの中長期的な展望です。

今回のブログでは、期初の経営戦略会議を起点に発足したインサイドセールスプロジェクト(以下、ISプロジェクト)の取り組みにフォーカスします。

これまで接点を持てていなかった小売業者の方々へ地道なアプローチを重ねて得られた、リアルな知見や気づきはどんなものだったのでしょうか。ISプロジェクトの立ち上げをリードしたコーポレートストラテジーのudonさん、メンバーとして参加したHR本部のkuroさん、グロース本部のsuzukiさんの3名に聞きました。

上村 直也(@udon)

@_nauya

コーポレートストラテジー部長

欧州系戦略コンサルのL.E.K.にてM&A戦略策定に従事した後、丸亀製麺を運営するトリドールにて米国事業を統括。うどん屋の海外展開や米国レストランチェーンの買収、店舗オペレーション改善に携わる。政府系PEファンドを経て現職。

黒田 将史(@kuro)

HR本部

マーケティングリサーチ会社とヘルスケアSaaSスタートアップの人事を経て現職。10XではHRプランニングとして人事制度・人材開発領域を担当。

鈴木 棟也(@suzuki)

グロース本部

コンサルティング会社にて新規事業開発や成長戦略の策定に従事したのち、10X入社後は顧客のネットスーパー事業における販促を担当

さらに多くのお客様と出会うため、短期集中で取り組むIS機能を立ち上げ

——ISプロジェクトを始動した経緯から教えてください。

上村 (以下、udon)きっかけは、当時は事業開発本部長を兼任していた矢本さん、現在事業開発本部の本部長の赤木さん、ならびに経営企画の私の3名で全社の売上計画を立てていたときのことでした。話し合いの場で、パイプラインを増やす必要性を全員が感じたんです。

Stailerはリリース直後から大手のパートナー企業とご一緒でき、ありがたいことに初期フェーズでは多くの引き合いをいただきました。そこから3年が経ち、良い意味で市場の開拓が進んできたのが今の状況です。以前から事業開発メンバーで見込み顧客に電話でのアプローチは行っていたものの「もっと多くのお客様との接点を作っていきたい」と考えていた時期でした。

そんな話をしていたところ、矢本さんから「udon、まずは短期プロジェクトでIS機能を立ち上げてみてよ」との提案がありました。正直なところ、経営企画ですし、営業経験もなかったので不安もありましたが、とりあえずやってみよう!と走り出したんです。プロジェクト立ち上げの話が出た翌週には企業への架電を始めていきました。

——そうして集まったのが、7名のプロジェクトメンバーでした。

開始時の5人でのキックオフミーティングでの一枚


udon:架電業務の外部委託も検討したのですが、Stailerというプロダクトの複雑性から「自分たちで直接伝えたほうがいいだろう」と考え、今回は社内メンバーで進めていくことにしました。

最初の2週間は、まず事業開発メンバー3名でやってみることに。100件ほどの小売事業者の方々にアプローチしていったところ、商談のアポも何件か取れ始め、メンバーを増やして2ヶ月間集中して取り組んでみようと決めたんです。

本格始動にあたり、過去にインターン先でIS業務の知見があったグロース担当のsuzukiさんにも入ってもらったほか、毎週水曜日に実施している全社会議の場でもプロジェクトメンバーを募りました。すると、予想以上に多くのメンバーが「やりたいです」と手を挙げてくれて、7名体制になりました。

——suzukiさんはudonさんによる指名で、kuroさんは手を挙げて参加したと聞いています。どのような背景でこのプロジェクトに臨んだのでしょうか?

黒田(以下、kuro):僕はHRなのですが、入社したての5月上旬に、事業開発本部長の赤木さんと1on1を行い「もっと事業理解を深めたいです」と相談したことがきっかけになりました。

当初は「商談の場などに同席させてもらえたら嬉しいな」と思っていたのですが、ちょうどISプロジェクトの始動のタイミングで「じゃあ明日から一緒に電話かけよう!」とトントン拍子に話が進んでいきました。声をかけてもらえてありがたかったですね。

鈴木(以下、suzuki):僕は、マネージャーの川崎さんから打診されてプロジェクトに参加しました。普段の販促業務とは違う業務ですが、いろいろなことにチャレンジするのが好きなので、単純に面白そうな取り組みだなと感じ、すぐに話を引き受けました。

コールドコールやセミナーの施策を通じ、1件1件アクションを積み重ねていった

——業務を進めるにあたり、役割分担などはしたのでしょうか?

udon:進捗管理や定量的な成果の管理など、全体的な数字の管理は僕が責任を持ちましたが、他のメンバーに関しては、あえて役割は明確に区切らないようにしました。そもそも短期間でのプロジェクトなので、前提として、業務をあまり属人化したくないという考えがあったんです。

このようなチーム体制にしたことで、誰かが本来のチームの業務で忙しいときには、他のメンバーが巻き取るなど、柔軟に各施策を進められたと思います。

一方で、アプローチ先の企業選定については少し考慮もしました。たとえば関西在住のkuroさんには土地勘のある近畿地方の小売事業者を中心にあたってもらったり、セールス未経験のメンバーにはいきなり大手の企業をお願いするのは避けたり…といった具合です。

——プロジェクト全体の数字責任はudonさんが担ったとのことでしたが、具体的な目標設定やKPIはどのように置いていたのでしょうか。

udon:一般的なインサイドセールス業務と比較してやや自己流だったかもしれませんが、僕らのミッションは、わかりやすく「新規の商談創出」としました。

達成を目指すのはもちろんですが、一方で、アポの獲得数はどうしても自分たちでコントロールしづらいのが正直なところです。そこで、結果指標だけではなくプロセス指標として「アクション数」も一緒に追っていました。具体的には「チーム全体で1日◯◯件、電話とメールによるアプローチをする」と決めたんです。

「まずは1件ずつアクションしてみよう」と、前向きなモチベーションが湧いてくるような場づくりを意識していました。


1日の終わりには、udonさんからアクション数の集計がSlackでシェアされていました

——実際に、まだ面識のない小売事業者の方々にアプローチを始めてみてどうでしたか?

kuro:まず、個人的なプロジェクト参加目的だった「事業理解」がものすごく進みました。僕は運よく3日目くらいでアポが取れ、さっそく商談で10XやStailerの説明をする機会にも恵まれて。

当たり前ですが、商談の場ではすべて自分の言葉で伝える必要があります。改めて自分たちの事業やお客様のことを徹底的に調べ、予行練習も繰り返しました。自分がきちんと理解できていないことはうまく伝えられないなと体感できて、良い機会になりましたね。また、お客様とお話しする中で、小売業界の全体像や最新動向をつかめたのも大きな収穫です。

suzuki:コールドコール(※まだ繋がりのない相手に電話でアプローチをすること)にはそれほど抵抗感は持っていませんでしたが、実際に取り組んでみると想像以上に学びと気づきがありました。

とある地方の小売事業者の方とお話しさせていただいた際に、Stailerの説明が全く伝わらず「10Xを知らない相手には、こういう伝え方ではダメなんだ」と反省しました。会社やプロダクトが外側の世界からどう見られているのか、どんなところに価値を感じていただけるのか、さまざまな面において解像度が上がったと思います。

udon:電話に出ていただいた相手に、まず「10X」という社名をなかなか聞き取ってもらえず苦戦しました。「え…テンエ……え…?」みたいな。この話で2時間は語れるくらい、たくさんのエピソードがあります(笑)会社やプロダクトを市場にまだまだ届け切れていない証拠ですし、「もっと多くのお客様と出会いに行かなければ」と気持ちが引き締まりましたね。

——コールドコールの他に取り組んだ施策があれば教えてください。

suzuki:プロジェクト期間中に、ネットスーパーの運営を検討されている小売事業者の方を主な対象としてオンラインセミナーを2回開催しました。正直、チーム内では「20名集まったらいいほうじゃないか」と話していたのですが、実施してみると実に2倍以上の方々に参加いただけたんです。商談につながる出会いも生まれ、思っていた以上にニーズがあると感じました。


「勝てる!ネットスーパーの鍵〜オンライン事業の成長戦略〜」と題し、オンラインセミナーを実施


とはいえ、一方でやはり新規のお客様にセミナーの存在を届けること自体の難しさも痛感しました。ネットスーパーのセミナー開催そのものが10Xにとって新たな試みだったので、今後の課題として最適解を模索していけたらと考えています。

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全員兼務の体制でも「As One Team」な一体感を感じられた理由

——メンバー全員が兼務で参加している中で、個人がプロジェクトの業務に充てる時間を捻出したり、チーム全体で一体感や推進力を高めていったりする難しさもあったのではないでしょうか。意識していたことや工夫したことがあればぜひ聞かせてください。

udon:正式な組織ではない短期プロジェクトではあるものの、10Xのバリューのひとつである「As One Team」はかなり意識していました。

ほとんどのメンバーがリモート勤務かつ、IS業務に取り組む時間帯もばらばらなので、並んで仕事をするのと比べてどうしても一体感が生まれにくいです。そこで、Slackにプロジェクトのチャンネルを立ち上げ、それぞれのアクションをタイムリーに共有できるようにしました。投稿があるたびにメンバー同士で盛り上がれるような空気を作りたかったんです。

毎回のコールドコール後のレポートがchannelでシェアされると、PJメンバーから反応が集まっていました!


kuro:やっぱり、ひとりで業務を進めていると行きづまってしまうときもあります。なかなかアポが取れないと、チームに貢献できていない焦りも生まれますし。でも、自分のアクションに対して周りのメンバーが「ナイストライ!」と声をかけてくれたり、アドバイスをくれたりして、めちゃくちゃ励みになりました。ああいったポジティブなコミュニケーションが、プロジェクト推進の熱量を高めてくれたなと。「As One Team」というバリューの通り、全員で目標に向かっていく感覚が持てたんですよね。

プロジェクトメンバー以外に、事業開発のメンバーも商談のサポートに入ってくれました。以前の職場でも業務のナレッジを共有する文化はありましたが、10Xに入社して「ここまでオープンかつお互いに高め合える組織ってなかなかないな」と実感しています。

suzuki:kuroさんの言葉にものすごく共感します。本業務が忙しくて数日でもIS業務から離れてしまうと、自分の中で勢いが失われ、なかなか行動に移せなくなってしまったことがあって。そんなときにSlack越しにメンバーの頑張りが見えてきて、心理的なハードルが取り除かれたんです。

それから、プロジェクト期間中は週3回の朝会もやりましたよね。お互いに今日の行動目標を宣言する場があると「よし、やるぞ!」と気合いが入ります。短期プロジェクトの組織にもかかわらず、メンバー全員が「As One Team」を感じていたのではないでしょうか。


udon:朝会では、目標に対する進捗の共有と個人の業務報告、大きくこの2つをアジェンダとしていました。僕自身がセールスの達人でもないからこそ、みんなで何でも試しながら改善を重ねていくほうが、チーム全体の成果にもつながるだろうと考えたんです。kuroさんは前職の人たちにもいろいろとヒアリングをしてくれて、電話以外にもFAXや手紙を活用するなど、アプローチの引き出しを増やしてくれました。

市場はまだまだ黎明期。だからこそ、もっと価値を届けられるはず

——プロジェクト全体を通じて得たそれぞれの学びや発見について教えてください。

suzuki:正直に言うと、最初は「Stailerや10Xは小売事業者の方々からそれなりに認知されているはず」「ネットスーパー事業参入への関心も高いだろう」と期待を持っていました。

でも、お客様にアプローチしてみて、そもそもネットスーパー運営を全く検討していない事業者の方も多く、まだまだ市場は黎明期なんだな、と実感しました。改めて、10XやStailer、ネットスーパーという事業そのものの現在地を確認できたのはすごく大きな学びでしたね。

その要因のひとつとして、ネットスーパー事業における複雑性の高さが挙げられると思います。どんなに商品の売り上げを伸ばしても、オペレーション部分の生産性が低ければ利益が生まれづらいビジネス構造なので、全方位的に課題を解消する必要があるんです。

その点、Stailerはオペレーションの効率化から販促支援までワンストップでパートナー企業に伴走することができる。プロダクトや事業の価値を再認識する機会にもなりました。

セミナー実施前、プロジェクトメンバーでの1枚

kuro:ネットスーパー事業はまだ歴史が浅く、業界全体のベストなソリューションや共通認識がない状態です。商談の場でお客様からも「事業を始めるにはどうしたらいいのかわからない」「始めてみたけどうまくいかない」など、切実な悩みを多く聞きました。

この事実を目の当たりにして、アプローチできていないけれどお困りの事業者はまだまだたくさんいらっしゃるんだろうなと。「10Xに相談してみよう」と想起していただけるように、プロダクトの認知をますます高めていかなければと、使命感に似た思いを感じています。

udon:プロジェクトで掲げた目標の達成だけではなく、実際にIS機能を立ち上げてみて、今後の方向性が定まったことも大きな成果のひとつです。

お客様にとってStailerの導入は大きな投資になるため、年間予算などの関係で、受注までのリードタイムは半年から数年ほどかかることもあります。ある程度長期スパンで提案を行うことになるので、部として常設するよりも、年に何度か、短期プロジェクトとして定期アプローチを行うのがいいだろうということがわかりました。

また、今回のプロジェクトによって、10X社内に「まずはフットワーク軽くやってみる」という文化を持ち込めたとも感じています。

——文化を持ち込む、というと?

udon:10Xには、もともとドキュメントを重んじる文化が根付いています。情報の透明化を担保する上で非常にメリットを感じる一方で、ともすればドキュメントを整えようとするあまりスピード感に欠けたり、動き出しが遅れてしまったりする懸念もあって。

考えて設計することはもちろん重要ですが、これから事業をさらに推進させていくには、状況がよく見えなくても、とりあえず電話を1本かけるというアクションを起こせるかが重要だとも考えています。この、良い意味での“軽率さ”をスタンスとして身につけられると、10Xはさらに強くなれるんじゃないかと。

だからこそ、社内に“新しい風”を吹かせるためにも、未知のことにどんどんチャレンジしていきたいですね。その積み重ねによって、お客様により高い価値を届けられるようになるはずです。

As One Teamで取り組んだISプロジェクトメンバー!

執筆・村尾 唯(@yui3x9

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