「ネットスーパーは、スーパーの物流部門」現場を支えるRetail Strategy & Opsチーム紹介

2022/9/14

10Xには、小売に関する知見を持つRetail Strategy&Operationsというチームがあります。その中でも、 Retail Operationsチームは店舗や倉庫、配送などの現場に関する豊富な知見をもつメンバーがいます。

今回は小売と物流に関する専門的な知識を備え、日々パートナーのために奔走する Retail Operationsチームの柳田さん・野地さんの二人に、視察現場で実際に行っていることから、チームの全体像まで教えてもらいました。

柳田 典洋

@A0nDLb2J8se3heD

Logistics Engineering Manager

シュルンベルジェ株式会社にてManufacturing Engineer、Production Planner、その後、アマゾンジャパンにて大型倉庫・AmazonFresh・NSのDark Storeの設計エンジニア、工事管理監督を務める。

野地 哲矢

@tsukui7

Operation Manager

Oisix ra daichiにて営業マネージャー、配送員マイスター制度を立ち上げ後、関西拠点のセンター長としてセンター統合をマネジメント。

ーお2人の自己紹介と、これまでのキャリアについて教えていただけますでしょうか?

柳田:Logistics Engineering Managerという名の通り、配送や物流などロジスティクス関連の物理的なエンジニアリングを担当しています。前職ではAmazonFreshの物流倉庫の設計を担い、配送拠点の立ち上げまでを担当、その直後に転職をしました。10Xを知ったきっかけは前職での同僚だった栃内さん(@mani_0417)の紹介で、入社を決めました。

関連記事:【2021年入社版】「YOUはどうやって10Xに?」

野地:新卒からオイシックス・ラ・大地に勤めており、営業チームのマネージャーから、配送管理まで広く担当し、その後関西拠点のセンター長をしていました。実は10Xの某パートナーの事業責任者が前職の先輩で、そこからの紹介で10Xのメンバーと会う機会があり、面白い会社だなと。結果的に、入社する流れとなりました。

ネットスーパーに関する知見を持ち、パートナーのために動くチーム

ーお二人の10Xでのお仕事内容を教えていただけますか?まず柳田さん、お願いします。

柳田:10Xのパートナーであるスーパーに対して、オペレーション面での支援をしています。たとえばあるパートナーでは、ネットスーパーで実現するべきWMS(Warehouse Management System = センター型のネットスーパー倉庫の中身を管理するシステム)のプロセスデザインを行い、それをWMSシステムベンダーとどのように実装するかのプロジェクトマネジメントを行っています。今はまず、一社目となるパートナーとの取り組みを進めていますが、今後センター型のネットスーパーの展開を開始する様々なパートナーにも適用できるように汎用的・標準的なWMSを作っています。

店舗型のネットスーパーの場合は、すでにStailerの機能でPOS連携でのリアル在庫を反映・ピッキングとパッキングの指示・仕分けの指示などを行えるのですが、センター型ネットスーパーの倉庫内のオペレーションや処理能力に対応すべく、システムベンダーとの協業で新しいシステムの開発を進めています。

また、パートナーの倉庫管理に関してスポット的にコンサルティングをすることもあります。店舗・倉庫などの現場に赴き、図面を引いてみたり、改善点を提案したりしています。

店舗型スーパーの場合はすでに陳列されている商品からピックアップを行う

ー野地さんのお仕事内容について教えてください。

野地:大きく分けて2つあります。1つは今後パートナーになりうる企業にBizDevチームが訪問する際に同行し、その会社のオペレーション面で今後改善余地があるのかどうか、診断を行いフィードバックを行います。そのパートナーが現在ネットスーパーを実施していない企業であれば、リソースの見積もりを行い「◯名程度で、これくらいの量を捌くことができますよ」と見積もりをお伝えしたりもします。

2つ目は、すでにネットスーパーをやっているパートナーと一緒に、今後ネットスーパーのキャパシティをどう拡大させていくのかを検討しています。現在取り組んでいる企業は幅広いエリアで展開しているため、それぞれの地域でモデル店舗を決め、どのようなボトルネックがあるのか、またそれをどう取り除くのか、検討と提案を行っています。
私と柳田さんが所属するRetail Strategy & Operations(以下、RS&O)チームは、10Xの中でも小売経験のあるメンバーが集まるチームです。ネットスーパーに関する知見をしっかり持ってパートナーへの提案や改善のサポートを担っているチームですね。

ーRS&Oは、BizDevチームとはどのように棲み分けされているのでしょうか?

野地:BizDevはパートナーへの初期の提案からクロージングまで一気通貫で伴走をする立場です。一方、RS&Oは、小売に専門性を持つ横串のチームとして、戦略やオペレーション等各メンバーが強みを持ち、BizDevと連携してサポートしていく立場です。

商品ピッキングの際も、Stailerのスタッフ用アプリが登場

定期的に赴く「現場」でやっていること

ー現場に行く機会も多そうですが、お二人はどのくらいの頻度で店舗に行かれているのでしょうか?

野地:頻度で言えば、週1くらい、月で見ると3回程度でしょうか。初めて伺う店舗もあれば、何回も通っているところもあります。

柳田:私もほとんど同じくらいです。

ー店舗視察の目的を教えてください。

柳田:ネットスーパーは「どれだけの注文を受けて出荷できるか」というキャパシティと、「どれだけ効率よく、少ない人数や時間、小さいエリアでピックパックや配送作業ができるか」というオペレーションが重要です。この精度をあげるため、改善点探しを行っています。その中でも、一番重要になるのが、意外に「ピックパックの完了した完成品の置き場」だったりします。顧客ごとに何袋も商品が分かれていくので、非常に場所を取るんです。完成品置き場に十分な場所がないと、荷物がさばけません。

実店舗の構造から、ネットスーパー運営の全体像を想像する


ーお二人は、店舗視察では実際にどういったポイントを視察されているのでしょうか?

野地:まず店内に入ったら、店舗の中の一番外側の通路(外周)をぐるっと見て回り、同じフロアにバックヤードがあるのか、正面から見て左右どちらなのか。お店のフロアにない場合、屋上駐車場や地下にバックヤードが付いているのか…とか。建物の形・店舗側とバックヤード側の位置関係をまず抑えておくようにしています。

柳田:分かります。はじめての店舗だと、まず建物の外周を端から端までぐるっと歩きますよね。

野地:ネットスーパーは店内から商品をピッキングしてバックヤードで詰め替え、さらに車まで積み込み、と移動が多いんです。それをいかにスムーズにできるかを確認します。オプションになるポイントとしては、納品口から出発をする場合、納品車とタイミングが被っても時間通りに出荷できるか、荷物を一時的に逃すことができる場所があるか、催事スペースやテナントなどの空きスペースが生まれる可能性はあるか、スペース確保・拡張可能性の点なども確認して回るようにしています。

柳田:コロナの影響でイートインスペースをクローズしている店舗もあるので、ピッキングとパッキングをするところは、店内でもいいんですよ、とお伝えすることもありますね。

建物の構造でネットスーパーのオペレーションが変化してくるそう

ーネットスーパーをやるとなった場合の、全体の流れをイメージするんですね

野地:そうですね。配達の際も、バックヤードからそのまま出荷に行ければいいんですが、店舗内を通ってもう1度外に出ないといけないこともあるので。ネットスーパーをやるとなった場合、どういう流れが作れるか考えるために、まずは全体を把握するようにしています。

柳田:実は、商品のピッキングとパッキング自体は、ネットスーパーの全体構成の中では小さい要素なんですよね。ネットスーパー運営の全体の導線の中で、店舗の人たちはどうやって動くのか、考えています。

ーすでにネットスーパーを実施している、既存店舗だとどういう点を見られるのでしょうか?

柳田:既存の店舗であれば、リスクになりうる細かい点を見るようにしています。ここは滞留が起きて人がぶつかりそうだなとか、作業台が低い場所にあるからスタッフの方の腰が辛そうだな、とか。人が作業しやすいホットスポットは、腰から上なのですが、あまりレイアウトが練られていない店舗だと、床に折りコン(折りたたみコンテナ)が置かれていたりしますが作業が辛いんですよね。腰から上の作業場所の設置が難しい場合でも、高さを5cm上げるだけでも効率が改善できますよ、とお伝えします。

野地:もちろん現場でも検討されているのですが、長年スーパーをやっていると、バックヤードにモノが集まってきてしまい、当初の設計から導線が変わっていたり、オペレーションが変わっていたりで、無駄が生まれてしまっていることもあるんですよね。

柳田:お店の方に「なんでこうなっているんですか?」と聞くと、明確な理由がある場合もありますが「なぜか昔からこうなっているんです〜」と言われることもすごく多いです。そういう場合は改善のチャンスがありますね。

ネットスーパーは、スーパーが「物流部門」を始めるようなもの

ーその他に店舗視察で確認される点があれば教えてください。

野地:通路の幅は見ていますね。ネットスーパーのオペレーションが変わるわけではないんですが、幅が大きめの店舗の場合、大きめの什器を使ってピッキング作業をしてもお客様に影響しないな、とか。あとエンドと呼ばれる、商品棚の通路に面した部分をよく見ています。中通路がある売り場とない売り場だとエンドの数が違うんですよね。エンドは広告掲載商品や、季節商品など、売り出し中の商品を置く場所なので、商品が変わりやすいんです。エンドの数が多いと、ピッカーの方が商品を探す時間が増える傾向にあります。

エンドはスーパーの棚の短辺の部分。季節商品や売り出し商品が置かれる


柳田:私はバックヤードに貼られているスタッフ向けの指示書がどれだけ見やすいか、も確認しています。指示書がごちゃっとしている場合、スタッフの動きが非効率になっていたり、全体の改善を考えている人がいなかったりするので。

一方、すごく上手い店舗もあります。とある店舗で、指示書にわかりやすいタイムチャートが貼ってあったことがあり「これすごい!」と驚いてお店の方に聞くと、パートの方が指示書を作られていることが判明しました。朝9時に準備してピッキング開始、10時にお惣菜類が完成、10時半にパンが焼き上がり〜と、時間ごとにやるべきことが書いてあり、いつ・どこで・どう動けばいいかが誰でも一目瞭然だったんです。

指示書のエピソードからも分かるとおり、小売をやってきた会社がネットスーパーを始めた時点で「物流会社」みたいな側面を持つことになります。商品をピッキング・パッキングして、配達をする。これは、従来の小売からは、かなり離れた概念になるので、大変なんですよね。

ーネットスーパーを始めると「スーパー」が「物流会社」になる...その差はどういったところにあるんでしょうか?

柳田:小売の人はモノを陳列してお客様に買ってもらうまでが仕事ですが、ECの物流部になると、買ってもらってから届けるまでが仕事になります。そこには安全も大きく関わりますし、もちろん到着時間などの品質の観点も大事です。一見すると同じスーパーの業務ですが、業務内容としては会社が変わったような気持ちになると思います。初めてネットスーパーを始められるパートナーの方には「これから物流会社になるつもりでいてくださいね」とお伝えすることもあります。

Stailerのスタッフ用アプリを用いて商品配送を行う様子

色々な人が関わる上で、安全でサステナブルなシステムを目指す

ーネットスーパー運営に関わるお二人から見た、仕事の面白さを教えてください

柳田:僕らの「当たり前」を伝え、担当者の方から「その視点はなかった!」と言ってもらえることでしょうか。ネットスーパーをやるのは簡単ではないですが、自分たちの知見をパートナーの方に提供し、それで現場の方のスムーズな業務をサポートできたり、喜んでもらえるのはとても嬉しいですね。

野地:前職では物流センターに勤めていたのですが、現場の方たちと働くことってすごく楽しいんですよね。改善点を一緒に考え、感謝してもらえることにすごくやりがいを感じます。

ネットスーパーは長く運営し続けるシステムなので、無理なく継続可能なサステナブルなオペレーションの構築が必要です。またさまざまな人が関わるので、誰にとっても簡単なオペレーションであるべき。現在、様々な業界で採用難と言われる中、仕事内容が覚えやすく、負荷が少ない業務であることはスタッフの採用上も大きなメリットになります。また、一度入った方に長く働いてもらうのも、組織運営の観点では欠かせない点です。

ー10Xのオペレーション改善のプロとして、ネットスーパーの今後の構想や、さらにやっていきたいことがあれば教えてください!

野地:ネットスーパーのオペレーションを切り口に、小売のオペレーションやオペレーションマネジメントに貢献できるような支援や、プロダクト開発に繋げていきたいです。

柳田:日本中の小売りネットスーパー業界に物流の基盤を築けるように尽力していきます!

Retail Strategy&Operationチーム + αのオフサイトの様子。一緒に働く仲間を募集しています!


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