「リスクを取らないことがリスク」- 20代で社員8万人の大手商社から社員13人のスタートアップに転職した話 -

2020/7/1

29歳の今年4月、新卒で入った社員8万人の大手商社を7年勤めた後10Xに転職した赤木努さん。なぜ彼はまだ社員13人の10Xに転職したのか。転職までの道のりと、入社からの3ヶ月に迫ります。

赤木 努 | @tsutomuakagi
Business Development
三菱商事株式会社 自動車事業本部にて、海外向け自動車輸出や事業投資先への出向(コロンビア・ペルー)などを経験。 帰国後はモビリティ分野に於ける新規事業開発、海外M&Aを担当。

人生のゴールから逆算した転職活動

-そもそも、なぜ転職したんですか?

僕には「自ら稼げる( = 価値を生み出せる)人間になる」という目標があります。その目標に向かって人生を逆算したとき、今足りないものは「自分が事業を創る当事者となれる環境で、必要なスキルを身に付けること。そして事業開発のプロフェッショナルになること」だと気付きました。それを得るにはスタートアップで働くことが一番近道だと思いました。

-実際に転職するのは、勇気がいる選択だったのではないですか?

もちろん勇気は必要でしたが、転職しない選択肢はありませんでした。前職時代、「自分は将来どうなりたい」「何がやりたいか」など長期的な視野で考えることから目を背けていた時期がありました。でも将来なりたい姿をちゃんと持たないことで、10年後、20年後に後悔しても遅いと気づいたんです。自身の成長の鈍化を実感していた事もあり、環境の変化が必要だと思いました。

-実際に転職しようかなと思ってから、どういったアクションを起こしましたか?

まずは今の自身の強み、足りないものを洗い出して自身に向き合いました。商社での7年間を改めて振り返ってみても、海外赴任も含め本当に色んな経験をさせてもらったと思っています。その上で身の回りの信頼できる人に今後について相談し、いくつかの会社や経営者を紹介して頂きました。

当時の振り返りメモ

-そこからどういった経緯で10Xと出会ったのですか?

数社紹介して頂き、いくつかの会社の経営者とお話をする機会を頂きました。自分に時間を作ってくださり、本当にありがたく貴重な経験でした。そんな中、10Xの出資元でもあるDCMの方を通じて10Xを紹介頂き、自身の育休期間を使って数ヶ月オフィスに遊びに行かせてもらったりしました。

-詳しくは赤木さんのnoteにも書いてありますよね。ちょうどこの期間は、自社ネットスーパー「タベクル」の立ち上げ期間だったとか。

そうですね。数ヶ月の間にサービスが立ち上がり、そして終了したことはビックリしました。ただそれよりも、この期間を通じて「どういう人がどういう環境で働いているのか」という会社の雰囲気が知れたことはとても良い機会でした。

-会社の雰囲気はどのように感じましたか?

2つ大きな発見がありました。1つ目は「すごくメリハリがある会社」ということ。みんなすごい集中力で働いて、夕方は5時は退社するんです。そのプロフェッショナルさはとても新鮮で、かっこよく見えました。2つ目は「代表・矢本の存在」。年齢も近く商社出身というバックグラウンドも近しいのに、どうしてこうも自分と違うのかと、衝撃的でした。エンジニアリングへの理解や芯の強さなど、自分が身につけたいと思っているスキルを兼ね備えていて、素直に「この人と一緒に働きたい」と思いました。10Xへの転職意欲も最初は50%くらいだったのに、数ヶ月経つと90%まで達していました。


「リスクを取らないことがリスク」- 2年かけて家族に説明

-転職の決断に関して、ご家族の反応はいかがでした?

僕にとっての一番近い家族は、妻と子どもだけではなく、自分の両親、兄弟、妻の両親まで含みます。自身の転職は家族の将来を左右する問題なので、妻がNoと言ったら転職しないと決めていました。少し時間はかかりましたが、妻は時間をかけて僕自身の「本気度」を見てくれていたのだと思います。たくさん議論もしましたが最終的に、「リスクを取らないことがリスク。俺はチャレンジしたい」という言葉に対して、素直に首を縦に振ってくれました。

-今、転職活動期間を振り返ってみて気づきなどあれば教えてください。

僕は結果として転職しましたが、転職しない決断をしていたとしても、転職活動自体にとても意味があったと思います。転職活動を通じて、自分の市場価値を知っておくことは重要だし、自分と向き合う良い期間でした。それに常に会社とは良い意味で対等な関係でいる必要があると思うので、その意味でも転職活動自体はとても前向きなことだと思います。

また「紹介してもらえる人材」になるため、常に自分を磨き続けることも重要だと改めて気づかされました。「Planned Happenstance Theory(計画された偶発性理論)」という考え方が好きで、常にネットワークを貼り続けることも大事だと思います。

スタートアップ転職後の「燃えている」毎日

事業開発は山田さんと2名体制

-入社して3ヶ月経過しましたが、どんな日々を過ごしていますか?

とにかく毎日必死です。自分がバリューを発揮できることを探してアウトプットを出しながら、それ以上にインプットする、そして前職の学びをアンラーンする、学びをしっかり形に残す、もう正直てんてこまいです(笑)。充実した日々を送っていて、楽しいという意味も含みつつ、一言で表すなら「燃えている」ですね。

-確かに赤木さん燃えてますね。燃えすぎて入社当初は振休の日に仕事して、上司の山田さんに注意されてましたもんね。

そうですね(笑)以前は休日も仕事するくらい量で勝負していましたが、今は逆に「本当にやるべきことを自分で見極める」「見極めたものにフォーカスする」ことが大事で、10Xのバリューの一つである「自律する」が求められていることを感じます。そのため「やることいっぱいで死にそう」というわけではありません。入社から3ヶ月経った今、フォーカスするポイントも少しずつわかってきた気がします。

-そんな日々の業務について教えてください。

先日公開された「Stailer」の導入を目指すパートナー候補企業の方とお話する事業開発を主に行っています。Stailerは開発不要でネットスーパーを立ち上げ可能にするプロダクトですが、DXの追い風もあり、ありがたいことに多数の問い合わせを頂いています。とはいえ、問い合わせがあった全ての事業者にすぐ導入を進める訳ではなく、先日の山田さんのブログにもあったとおり、先方と10X側の優先順位を見極めながら「経営上のネットスーパー事業の位置付け」や「最終的にどこを目指していくのか」を議論するところから始まります。

これは我々の「10xから逆算する」のバリューにも通ずるところがあるのですが、「パートナー企業が抱えるイシューは何なのか」、「ネットスーパーを導入する意義は?」など、対話を通じて「本当にあるべき姿」を戦略レベルで一緒に考えていくところから行っています。パートナー企業の成長に10Xもコミットするという意思表明として、Stailerのビジネスモデルは導入時に初期開発コストを頂かないという特徴があります。


余計なプライドを捨てれば戦えるフィールドは多い

-山田さんも前回おっしゃってましたが、必然的に経営者の目線が求められますね。

そうですね。ひとくちに「経営者の目線」と言うのは簡単ですが、商談相手は自分の親世代の方もいらっしゃいますし、なかなか大変です。最近常々思うのですが、商談先企業の経営層と対話を重ねる場面においては、商社時代に培った対人スキルがとても活きています。相手に配慮したコミュニケーションや面談での立ち振舞いなどは、年齢を重ねると学びづらいと思いますし、新卒時に厳しく教えてもらったことは本当に感謝しています。商社での経験は自身の強みにもなっていると感じます。

-前職での経験が、今活かされていると思うことはありますか?

対人スキルに加えて、貪欲に学び続ける姿勢ですね。今の自分はこれといった専門性がなく、いわゆるジェネラリストだと思います。ジェネラリストは強みが特化しづらいとも言われますが、僕は必ずしもそうとは思いません。現場のオペレーション・財務・会計など、広く知識や経験を持っていること自体は良いことですし、突き詰めていけば、経営者もジェネラリストだと言えると思うからです。大切なことは、必要な知識や経験を吸収し続けるために、余計なプライドを捨てて「発言/質問し続ける鈍感さ」と「とにかく学ぶ意欲」を持つこと。これさえあれば、戦えるフィールドはあります。「スキルを身につけてから転職したい」と相談されることもありますが、自らやらざるを得ない状況を作るほうが早いかなと思います。今もし同じような悩みを持っていて一歩踏み出せていない方がいれば「自分を過小評価しなくてよい」と伝えたいですね。

-赤木さんのnoteに「入社後日々成長を感じる」とありましたが、具体的にはどういった点で成長を感じますか?

できることの幅が少しずつ広がっていることです。例えばデータ分析のSQLは地道に勉強してきたお陰で、パートナーからローデータを受領し、それを分析してお見せ出来るくらいにはなりました。提案資料を作成するときも、読み手の立場にたって作るコツや、WHYをしっかり語ることが身についてきていると感じます。

-逆に「まだまだだな」と実感する時はありますか?

プロダクトへの深い理解と、開発側とのブリッジとなる領域は、まだまだ足りてないと思います。具体的に言うと、そもそもソフトウェア開発に関する基礎知識が足りないということと、プロダクトの要件を詰め仕様を決めたり、それらを開発の優先順位に落とし込んだりする、いわゆるPM(Product Manager)と呼ばれる業務です。ここについては、代表の矢本さんが得意な領域なので、絶賛スキル・ノウハウ盗み中の段階です。

些細な疑問を見逃さず、質問するように心がけている一例


スタートアップは「世の中のうねりと自身の戦闘能力向上」を感じられる場所

-この記事を読んでいる方、特にキャリアへの転職に悩んでいる方に向けてアドバイスなどありますか?

スタートアップは「世の中のうねりと自身の戦闘能力向上」を身近に感じられる場所だということです。大企業は言わば大型船、海がちょっと荒れても気にならないですよね。大型船の中には立派なジムもあって、そこで体を鍛えているイメージです。逆にスタートアップは小さな舟。海が荒れて転覆すればゲームオーバー。ただ、その環境で得られる経験は、大企業の中にいるだけでは察し得ないと思います。前職を辞めるときに上司や人事部から「これからは大企業も変わっていく。新卒生え抜きがほぼ全員という偏った人員構成から、中途や出戻りが増えていく」とも言われました。外を経験した人の価値は、間違いなく高まると思います。

大企業が変わっていく様子は、実際中にいた僕自身も感じていました。大企業には大企業にしか出来ないことが沢山あることも事実なので、まずはきちんと自分に向き合ってみることが大事だと思います。

-転職するとき、待遇や年収が下がることを気にする方も多いと思います。

今の経験や学んでいることは、将来とてつもなく大きな金銭的なリターンとして返ってくることを確信しています。この学びへの先行投資という意味では、一時的に年収が下がることは恐れるものではない、というのが持論です。自分は「10年後の自分から感謝される選択」をしたと思っていますし、成長し続けることが自分への一番の投資だと思っています。それに10Xはスタートアップでは比較的高水準な給与体系だと感じたので、そこは安心して転職できました。

-最後に改めて、 10Xの事業開発職の面白さを教えてください。

今回のCOVID-19を体験し、改めて「世界ではいつ何が起きるかわからない」と強く実感しました。僕もまさか転職1日目を自宅ベッドの片隅で迎えるとは思ってもいませんでしたから。そういう不確実性に当事者として一つずつ向き合っていく手触り感は、まさに自分が求めていたことです。色々な事業者との会話を10Xの代表として最前線で担っており、可能性の種を拾ってそれをどう育てていくかを考えられる立場にいる今、とても楽しいと感じています。

10Xの事業開発は、「最高のプロダクトを武器として持たせてもらっていること」が最大の強みだと思います。ノコギリすらない時代に、チェーンソーを持ってタイムスリップしたような感覚です。今はとにかく10Xの価値をしっかり伝え、我々と一緒にビジネスをしたいと思っていただける事業者を増やし、クライアントも10Xも消費者も、全員がハッピーな事業を1個でも多く作っていくことにやりがいを感じていますし、そういうチャンスがある状態だと思います。エンジニアも含め最高のチームが集まっているので可能性は無限大です。事業開発職を通じて事業を一緒に10Xさせましょう。

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